ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■警視庁のピーポと一般ピーポー。
あれは日曜日のことじゃった。

免許の書き換えに行ったんである。出掛ける時に

「どこいくのー?」

と娘・R(9才)と息子・タク(7才)に

「車の免許証の書き換えに行くんだよ」

そう説明したがピンと来ない顔をしていた。そりゃそうだろう。ウチ、車なんてないし、僕、ペーパーゴールドドライバーだし。車じゃなくて女になら毎日乗ってるんだがね、フフフ。すいません嘘つきました。

日曜日は試験場でしか受け付けてくれない。東京23区では東陽町か鮫洲であり、東と南に偏っていて、北西部の練馬に住んでいると5年に1度のこととはいえ微妙に不便である。

京急線に乗って鮫洲に。旧東海道沿いの、古ぼけた昭和の匂いと江戸時代の歴史がそこかしこに感じられる鄙びたよい街である。

京急
駅には京急電車のシミュレーターが!絶対誰にも見られないという保証があれば乗っていた。コレに乗って

「ダァ シエリイェス!!」(ドア閉まります)

って言ってみたかったなあ。

試験場に着くと、日曜なので混んでるかなあという予想は外れ、受付、視力検査、写真撮影などなど、流れ作業的にサクサク進んだ。

講習もゴールドなので30分ポッキリ。講師の人も、とにかく早く終わらせることを最優先としている感じで、とにかく早口で喋りまくる。往年のツービートの漫才のよう。まあどうせまともに聴いてる人もいないんだろうし…と、僕も馬耳東風モードでボケーッとしていたが、
たまに耳を澄ませると

「道路を清掃する車って分かります?大きくて丸いブラシを回しながら走ってる車。あのブラシの部分にお年寄りが巻き込まれてバラバラになる事故がありましてね…」

とかものすごい怖い話をしていて油断できない。そして計ったように30分後、

「…というわけでこれでおしまいなります。最後にご質問は…ありませんね!」

と言い切って終了。

別の部屋で新しい免許を貰った。痴漢で捕まった犯人みたいなツラのオッサンが写っていた。これを5年間使うのか…。どうせペーパーだからいいか…。

用は済んだのでとっとと帰ろうとしたら、ピーポくん(警視庁公式ゆるキャラ)のぬいぐるみが展示されているではないか。試験場でしか買えないレアアイテム。しかし売店は閉まっていて、もうこの時間はどうやら買えないようである。

本当は大して欲しくないのかもしれないが、買えないとなるとなんだか悔しくなり、取り敢ず写真でも撮って「ピーポなう」的なツイートでも上げちゃれ、と思いケータイで写真を撮ったら、おまわりさんがすっ飛んできた。

「試験場内は撮影禁止なので、この場で消してください!」

「すいません…。記念に、みたいなノリでつい…」

びびってそう言い訳すると

「まあみなさんそうおっしゃいますが」

みなさん、てことは僕みたいなアホは結構いるらしい。大目に見てくれないものだろうか、と思ったのだが消す操作を完了するのを確認するまでじーっと凝視され、逃げられなかった。

さすが免許を交付するところだけに、非情のライセンスである。

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11月08日(木)
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