ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■9
朝起きて、ぼーっとしていると娘・Rもぼーっと起きて来た。

「やあ」

「…」

「トイレ行った?」

「…」

しばらくお互いぼーっと見つめ合って、会話にならない会話をしていたが、はっとあることに気が付いて目が覚めた。

「そうだ。R。今日は誕生日だね。おめでとう」

と言うと、Rも急にパッと目が覚めたように目がパッチリとし、ものすごく嬉しそうな顔になり、

「パパー」

と抱き付いてきた。

「もう9才だねえ」

まだまだ赤ちゃんと大して変わらないぐらいの感覚なのに、年の数はあっという間に増えていく。お風呂で「いーち、にー」と数えるぐらいのテンポの早さ。「9」という数字は大きいなあ…倍になるともう18才である。こんなふうに気軽にダッコ出来る年ではない。

そう考えると、気ままにベタベタ出来る時間もいよいよ少なくなってきたのだなあ…、と成長の喜びよりも寂しさの方が増してしまい

「Rちゃんはどんな女の子になるんだろうねえ…」

と呟いてしまった。Rは

「おんなじだよ」

そうひとことだけ言って抱き付いていた腕を放し、隣の部屋に去って行った。そうだ。Rにとっては成長した自分も今の自分も同じ自分であることには変わりない…。それに、僕の「ずっと今のままでいておくれ」なんていう気持ちを読み取ってしまったのかもしれない。

Rの成長したいという気持ちに水を差すような態度は取ってはいけないなあ…と反省したのであった。

だけどRはいつまでも僕に甘えてくるような、成長してもパパ大好きな子に育ってくれるような気もしないでもない。これは希望的観測過ぎるであろうか。勿論Rの育ち方だけでなく、僕次第でもあるだろう。あんまりヘボい父親だったり臭いオヤジだったりすると、軽蔑されまくってダメである。僕もしっかりしていなければなるまい。

Rは9才だけど、オヤジはクサイじゃいかんのである

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08月10日(金)
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