ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■世に変質者の種は尽きまじ。
娘・R(8才)と息子・タク(6才)は開放図書(学校の図書館を一般開放している)にて本を借りている。

土曜日か日曜日に行っているので、たいてい僕が一緒に付いて行くのだけれども、よく考えたらタクも小学校に上がったことだし、もう付き添わなくてもいいのではないか…と考えた。

タクが幼稚園の頃はさすがに親が付いていく必要があると思う。暴走したチョロQのようなタクをRだけで抑えるには無理がある。しかしもうタクも1年生であり、行き先は小学校なので、いつも登校しているのと全く変わりがないのだ。

そんなわけで初めてふたりだけで行かせてみようと考えていたら、区から来る防犯メールにて気になる情報が入ってきた。

「下校中の女子児童に『パンツ見せろ』というオヤジが現われたから注意せよ」

要約するとこんなことが書いてあったのである。これでは目を離すわけにはいかないではないか…。この情報はRとタクも知っていて特にタクは

「パンツ見せろってオッサンがいたって先生が言ってたよ!」

と得意気に話す。

「うん。君達も気をつけような。登下校は絶対ひとりになるなよ。知らないオッサンには近寄るなよ。」

でもタクは男の子だから大丈夫か…いや、可愛い男の子を狙ったオヤジ情報もままあるのでやはり用心するに越したことはないだろう。更にタクはパンツ一丁になって歌って踊る、

「パンツマン」

という情けないタイトルの曲を作詞作曲しており、パンツ見せろとか言われたら喜んでパンツ一丁になりライブがおっぱじまりかねない。それはそれで心配なのでやはり今日の開放図書も僕が付いて行った。

ほんの少しだけ雨が降っていたので傘を差して歩く。勿論パンツ見せろオヤジにはエンカウントせず、顔見知りのオバサンひとりとすれ違っただけの、のどかで平和な道のりであった

図書室の中もほんの数人いるだけの、静かでまったりとした時間が流れていた。たまたまRと同じクラスの女の子がいて、ヒソヒソクスクスと図書室だから静かにしつつも何か楽しそうに話しをしながら持って来た本の返却と、新しい本を貸出の手続きを済ます。

「ありがとうございました」

帰り際に挨拶をして傘を取り帰ろうとすると

「降ってましたか?」

受付の女性に聞かれたので

「ほんのすこーしですね」

と答えて扉を開けようとしたら

「でも雨の音強くなってるよ」

Rが耳を澄ませて言う。そういえば「サーッ」という、細かい雨が当たるような音が聞こえる…と思ったけれども、それは扉の上で回っている換気扇の音なのであった。

「R、その音はこれだ」

僕らのやりとりを聞いていた受付の人は笑ってしまい、Rは

「わかったよ!かえろ!」

恥ずかしそうに外に飛び出して行った。しかしなんで出入口の扉の上に台所みたいな換気扇が。

子供達に登下校は気をつけるように喚起せん、ということなのかしらん。なんちて。

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04月23日(月)
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