ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■アタック25。とちおとめ25。
日曜日の夕方、栃木の実家にお泊りしていた娘・R(8才)と息子・タク(6才)を迎えに行った。
池袋まで母が連れて来てくれるので、駅で待ち合わせることにした。僕を発見したタクが
「パパー!」
と走り出したので
「ほらほら、また走る!」
昨日栃木に行く時に母とここで待ち合わせた時も、母めがけて走り出して通行人とぶつかって怒られたくせに、
「もう忘れたのか!」
と言ったらビクッと止まった。だるまさんが転んだ状態。でもじわじわとにじり寄って来て
「ママ、会いたかったよう」
嫁に抱き付いてゴロゴロと甘える。
「やっぱりママに会えなくて寂しいって言ってたもんね」
と母が笑う。一方Rは僕の顔を見てニヤリと笑い、手を繋いできた。あんまり「寂しかった!」とか言わないところがちょっとお姉さんになったのだろうか。
駅を出てゴハンのお店に入り、食べながら「おばあちゃんにどこ連れてってもらったの?」と聞いてみた。僕が実家に帰った時は、近くにある大好きな佐野ラーメンの店に真っ先に行くのだけれども、
「ラーメンは食べなかったよ!」
とタクが得意気に言う。
「なんで?」
「だってパパが食べられないのはかわいそうだからボクも食べなかった」
父への思いやりからラーメンは自粛したんだという。
「そうかー。気を遣ってくれたんだね。ありがとう」
「そのかわり、おすし食べた」
「なんだとー!」
ラーメン食っとけっつの。
「あ、あとねえ、桜祭り行ったよ」
「ああ、あの桜並木と運動公園の…」
毎年この季節になると、名物である桜並木と隣接した運動公園で桜祭りが開催される。屋台などの出店がたくさん並び、Rもタクもいっぱい買ってもらったようだ。そして、屋台の食い物を食っただけでなく
「とちおとめ25見たよ!」
「なにー!」
とちおとめ25とは、栃木のローカルアイドルグループである。たまたまこの桜祭りの特設ステージでライブが始まったので観ていたのだという。
「とっちっおとめー♪、にじゅうごっ!」
すっかり歌を覚えて合唱するRとタク。僕が新潟のアイドル・Negiccoのライブを観ていた一方で子供達が栃木のとちおとめ25とは、血は争えぬものである。しかも子供達はNegiccoも観たことがあり、ローカルアイドル観戦経験値としては僕を追い抜いてしまったではないか。
「観てる人いっぱいいた?」
とちおとめ25のファンはどんな感じなんだろうと思い聞いてみたら
「おっさんが光る棒持って踊ってた」
おお、栃木の地にも熱いアイドルヲタがいるようである。僕もその場にいたらやってしまいそうだが、考えてみたら超地元であり、僕が知らなくても僕のことを知ってるおじやんおばやんがわんさかいるため、
「あそこで光るの持って踊ってんの、梶林さんちのかじりん君じゃねんけ」
「あんれま。頭だいじけ?」
「やっこちゃん(母のアダ名)もかわいそうに」
と即座にヒソヒソされることは間違いない。Negiccoを応援する地元新潟の人もそういう悩みがあるのかしらん。
そんな話しをしている間、Rはいつからか静かになって、テーブルにメモ帳とエンピツを出し、何やら一生懸命書いていた。
「はい、おばあちゃんとやっちゃん(弟)へのお手紙。あとで読んでね」
Rは相変わらずお手紙好きである。Negiccoにも書いて渡してたよなあ。
ゴハンを食べ終わり、母を送るために駅に向かう。別れ際に母の好物の鳩サブレーを渡し
「ばいばーい」
Rとタクは手をぶんぶん振って見送っていた。タクの顔を見ると、シクシク泣いてるし。
「さびしいよう…」
「うんうん。また会いに行こうね」
お調子者だけど涙もろい6才児。しばらくシュンとした顔をしていたけれども、家に着く頃には
「とっちっおとっめー!」
またいつもの調子に戻り、いつものように熱唱していた。こうしてあっという間に土日の休みは終わり、明日からまた…
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04月10日(火)
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