ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■梅え話には裏がある。
栃木の実家には、娘・R(8才)が生まれた記念に植えた梅の木がある。

なぜ梅にしたかというと、当時「ガラスの仮面」というマンガにはまっていたからである。今もはまってるけど。

その物語の中に出て来る「紅天女」(くれないてんにょ)という幻の名作と言われる演劇があり、演劇を復活させるにあたり主役である紅天女役を獲得すべく、主人公・北島マヤとライバル・姫川亜弓という二人の天才女優が演技力を競い合う、という話しなのだけれども…。その紅天女は紅梅の精、という設定なのである。

で、栃木の母から

「庭のR梅が満開だよ」

とケータイに画像が送られてきた。ちなみに栃木の母は紅天女というよりも紅の豚に近い。

「母さんから梅の画像が来てたよ…」

嫁に伝えると言うと

「あら、私のケータイにも来てたよ」

とのことで。ちなみに嫁も紅というよりも「やらせて紅」である。僕と嫁、両方に送ってくるのはどういうことかというと、

「枯れないうちに見に来い」

と誘っているのだ。もうこの人の息子を何十年もやっているのでよく分かる。前回栃木の実家に帰ったのがひな祭りの頃。約1ヶ月立っている。父に先立たれてさびしんぼうの母は、僕ら家族と会うのが何よりも楽しみなのだ。

「顔を見せろって催促だよこれは」

嫁もよく理解している。メールにはひとことも「会いたい」とは書いてないが、そろそろ会いたいという気持ちが電波に乗ってものっすごい漂ってくるのだ。ピチカートファイブ風に言えば「早くあなたに会いたい」であり、AKB風に言えば「会いたかった、君に」であり、西野なんたら風に言えば「会いたくて震える」なのである。

ただ時期的に悪い。年度初めなのですごい勢いでバタバタしており、とても実家に帰れる状況ではない。嫁もパートの仕事がビッチリだ。そうなると

「R(8才の娘)とタク(6才の息子)だけ泊まりに行かせるかい?母さんに迎えに来てもらって…」

と母に提案してみようということになった。以前もこのようなことはしたことがある。早速子供達に

「また君達だけでおばあちゃんちに行くかい?」

と聞いてみると

「いきたいいきたい!」

ばあちゃん大好きなふたりがヤダと言うはずもなく。で、母には

「僕と嫁は忙しくて行けなくて悪いんだけど、Rとタクふたりが泊まりに行きたいってさ。僕が途中まで送って行くから、そこまで来てくれるかい」

と頼むと

「もちろん、いいですわよ〜」

紅の豚なのにすぐさま飛んで迎えに来そうな軽い感じの返事が来た。やっぱり会いたいメールだったんだなあ…。

そんなわけで週末のRとタクは栃木で母と過ごすことになった。その頃には梅は散っているだろうし、かといって桜はまだ早いという一番谷間のタイミングになりそうな気がするけれども、子供達は花より団子である。ばあちゃんにいっぱいおねだりする気だろう。

Rとタクよ、行けない僕らの分もにぎやかにして、おばあちゃんの寂しさを忘れさせてくれたまえ。

梅の画像メールから始まっただけに、親の分を梅合わせ。なんちて。

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04月06日(金)
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