ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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息子・タク(5才)のお遊戯会。
「私は係だから一緒には見られないんだ」
嫁は入場退場する園児達を誘導する係になっているのだという。お遊戯は年少、年中、年長の順で行なわれ…とプログラムを確認していたら
「パパコレ見て」
娘・R(7才)がチラシの裏に何か書いたモノを見せる。
「1ねんしょう:やってるあいだはママとタクはしゅうごうする。
2ねんちゅう:パパとRはいすにすわる。
3ねんちょう:みてる。
4かえる 」
「R…なんすかこのメモ」
「あのねー、Rちゃんはだんどり分かってるけどパパは分からないと思うから書いて教えてあげるの」
「ああそう…ありがとう…」
Rはいつからこのような「お姉さんが教えてあげる系」の上から目線キャラになったのだろうか。
会場の講堂に入り席を確保し、集合場所の舞台裏に向かうタクと嫁を見送った。
「タク、頑張れよ」
と声を掛けると
「オレはいちばんうまいからセンターなんだ」
「オレはクラスのリーダー」
「オレは天才」
「オレはベテラン」
などなど、おそらく担任から吹き込まれたのであろう、数々のおだてられた言葉をブツブツ口にしながら歩いて行った。一応緊張しているのだろうか…と見守ったが

始まってみたら終始ニコニコしていて本当に楽しそう…。先生におだてられるだけあって踊りも完璧であった。
お遊戯が終わると、タクは優勝を決めた白鳳がのっしのっしと花道を引き上げるが如く、一仕事終えた面構えで戻って来て僕の膝の上に座った。
「さすがうまかったなー」
等と褒め称え、次に行なわれるタクのクラスの女子のお遊戯を一緒に見た。木村カエラの「butterfly」の曲に合わせて、ウェディングドレスっぽい衣装を着た女の子達が踊る、という超オヤジ殺しな演出。僕が父親だったら将来嫁いで行く娘の姿が重なり号泣しているはず。Rの時にコレやられなくて良かったなあ…。
「タク、あの子達の中で誰が一番好き?」
クラスで誰が一番好きなんだよー、言ってみろよーとか小学生か、ってレベルの質問をタクにしてみたら
「別に」
エリカ嬢並みのそっけなさ。なんだつまんね…とか言いながら、女の子達のお遊戯が終わった。その途端
「タクー!なんでココにいるの!まだ解散じゃないでしょー!」
嫁がもの凄い形相ですっ飛んで来た。
「あ、やべ。タク、君、まだココにいちゃいけないみたいよ」
僕悪くないもん。子供誘導する係だったのに誘導できなかった嫁が悪いんだもん。
「ぶわああああああん!」
タクは嫁の怒号と鬼の形相を見ただけで号泣。
「年中はまだ解散じゃないの!うしろにみんな集合してるの!」
「ぶわああああああああ!」
阿鼻叫喚なさまを満員のよそさまに見せまくってタクは嫁にもの凄い勢いで抱きかかえられていった。最後の最後でケチがついてしまったことであるよ。
「たっくんねえ、女の子よりユウキ君(タクお気に入りの隣のクラスの男の子)がいちばんかわいいって言ってたよ」
タクがいなくなった後でRがポツリと言っていた。僕、タクの子の顔は見られないのかな…。
お遊戯よりお世継ぎが心配になってしまった。
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12月05日(日)
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