ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■教会少女
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嫁が買い物中、近所の公園で娘・R(7才)と息子・タク(5才)を遊ばせていた。

「うんていやる!」

Rもタクも今「うんてい」(ハシゴみたいな遊具)がブームで、一生懸命ぶら下がってエッチラオッチラしていたが、

「パパ、もうダメー。おりるー」

端から端へ渡ることが出来ずリタイア。そこに後ろから猿みたいにサササッと素早く渡っていく女の子がいた。R達よりずっと大きくて、3〜4年生ぐらいに見える。

「ほら、あのお姉ちゃんの動きを真似してみろ」

と、僕が言ったのがきっかけで

「いっしょにあそぼ」

その女の子と仲良くなってしまった。ふっ。ナンパするつもりじゃなかったんだが、向こうから一緒に遊ぼうと言われちゃあしょうなねえなあ。

「じゃあ何して遊ぼ…」

「あっちの鉄棒行こ!」

僕が喋っているのにタクがでかい声でかぶせてきて

「うん!」

だだだーっと、女の子と一緒に走って行ってしまった。Rも慌てて追い掛けて行く。おのれタク。僕がパーナンしたナオンを横取りしやがって。

ま、あとは若い人達に任せて…と僕はベンチに座って見ていると、その女の子、名前をマナカちゃんといい、3年生だという。年下のRとタクをよく見てくれていた。

「じゃあ次は何して遊ぼうかな?」

「たっくんは何がいい?」

「みんなでかけっこするからコースとルール決めよう!」

とても面倒見がいいし、物事を決めるのもてきぱきとしている。かけっこをしたら年上だから当然なんだけど、Rやタクなんかより全然速い。で、ボロ負けしたタクが悔しくて

「ぶわああああ!」

と大泣きするのだが

「じゃあ次は私が5秒遅くスタートするからもっかいやろ!」

などと優しくフォローしてくれて、なんていいお姉ちゃんなんだ、と舌を巻いてしまった。

「私、野球やってて、あと、リレーの選手だから!」

更にすごいスポーツ少女らしい。リレーといえば、Rの学校の運動会で見た。

「君も○○小(Rと同じ学校)かい?」

と聞いてみたら

「ううん、××第一小」

ちょっと遠い地名の学校名を挙げた。

「そんな遠くから来たの?」

「ママとそこの教会に来たの。私は賛美歌歌うの終わったから」

わりとでかい教会が公園のすぐ隣にある。お母さんが熱心に通う信徒なのだろう。まだ教会で何かをしていて、終わるまでひとり遊んでいるつもりだったらしい。

「じゃあ次はグループになってリレーをしようよ!」

マナカちゃんは本当に人を取りまとめるのが上手だ。Rもタクも「うん!」とか従ってるし、リーダーシップがありすぎて

「じゃあおとうさんもやるのよ!」

いつの間にか僕も従う羽目になってしまった。全力疾走でひたすら何本もダッシュ。

「ごめん…さすがに…おじさん疲れたよ…」

いつもちんこしかしごいてない僕が、マナカちゃん流野球部のしごきに耐えられるわけがない。誰よりも早く息切れしてギブアップ。膝とふくらはぎがゲラゲラガクガク笑っている。

「悪いけど、違う遊びにしないかい?」

情けなくもマナカちゃんに提案すると

「じゃあドロケー」

「もっと走るじゃないかー!」

結局「色鬼」で手を打ってもらうことにした。

「鬼さん、鬼さん、どんな色」

「赤」

わああああ…って何十年ぶりにやったんだコレ。久しぶりに全力で遊んでしまった。やがて買い物を終えた嫁がチャリで公園に来た。Rとタクもさすがにバテ気味だったのでいい頃合いだと思った。

「そろそろ帰ろう。マナカちゃん、遊んでくれてありがとね」

帰る僕らをバイバイと見送ってくれるマナカちゃん。まだひとりで遊ぶつもりなんだろうか。黄昏時に可愛い女の子ひとり。ちょっと心配なので

「暗くなっちゃうから教会の中に入った方がいいよ〜」


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11月05日(金)
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