ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■鉄との遭遇
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雨が降っているので外に出られない娘・R(7才)と息子・タク(5才)が体力を持て余していた。
「割引券があるからおもちゃ王国に行こうか」
と嫁。おもちゃ王国とは水道橋の東京ドームシティにある屋内型の遊戯施設。とにかくおもちゃがドッサリあるので子供なら1日中いても飽きないだろう。
「いくー!」
Rとタクは大興奮して賛成するのでそうすることにした。最寄りの駅から地下鉄都営大江戸線に乗る。
「パパ、乗り換えある?」
タクは電車に乗るとルートを確認することが多い。
「都庁前駅で降りて乗り換えて、春日駅でまた降りて三田線に乗り換えて水道橋で降りるんだよ」
そう説明すると
「かすが!とぅーす!」
そう叫んで車両の1番前にある運転席を覗きに行ってしまった。
「Rもみたーい」
Rもタクと一緒に車両の先頭に行ってしまったが、すぐ「飽きた」と戻って来たので僕はRと一緒に車両真ん中ぐらいの席に座っていた。嫁はタクのそばにつく。
しばらくするとタクの話し声が聞こえてきたのでそちらを見てみると、タクと同じぐらいの男の子と一緒に運転席を覗いていた。タクは誰とでもすぐ友達になれる。
知らない子でも「君何才?」と横浜ナンパ橋のナンパ師並みに気安く呼びかけ、いつの間にか一緒に仲良く遊んでいる。そういう世渡り上手的なところは誰に似たんだか。
その男の子が喋る「○○線が」とか「××駅が」等の言葉が断片的に聞こえてくる。きっと電車好きな子なのであろう。
やがて電車は都庁前駅に到着。僕らは降りる。タクは男の子に「バイバイ」と手を振って、降りた後も窓から見えなくなるまで見送っていた。
「なんか盛り上がってたみたいだな」
嫁に聞いてみると
「あの子、タクと同じ5才なのにすごい電車に詳しいの。パパが一緒にいたんだけど『ヒマさえあれば路線図見てるんですよ』だって」
「ふーん。鉄ちゃんか」
「私らの乗り継ぎ、ダメ出しされちゃったよ」
「なんだとー」
その男の子に「どこ行くの?」と聞かれたのでタクが「おもちゃ王国」と答え、僕が教えた通りの乗り継ぎ経路を話すと
「おもちゃ王国なら僕も行ったことあるよ。水道橋だよね?なら東中野か代々木でJR総武線に乗り換えた方がいいよ」
その方が乗り換え1回で済むから、と言われたという。おのれちん毛も生えてないクセに僕の乗り継ぎ案にケチを付けるか。嫁も
「そう言われればそうだよねえ」
あんたより5才児の方が頼りになるわ、みたいな顔をして言うので
「JRに乗り替えるよりずっと都営地下鉄で行った方が安いんだよっ。それにJRの水道橋駅だとまだ歩かなくちゃならないけど、三田線の水道橋駅なら出口の隣がおもちゃ王国じゃないか。濡れなくて済む」
所詮5才、路線図以外の運賃やその他利便性を総合的に考えるのはまだまだであるよ、とムキになって説明したら
「あらそうなの」
ようやく嫁は納得し僕は面目を保った。
「それでも5才でそこまで言えるところはすごいね」
しかしそれはそれで素直に感心すると
「たっくんもすごいの!」
タクの負けず嫌いな面が出て急にヘソを曲げて怒りだしたので
「わーかった。お前も凄いから。えーと、何が凄いっけ。あー…。そうそう踊りとか」
とりあえずフォローをするしかなかった。他の子褒めたらいかんのかい。とにかく都庁前駅で飯田橋・両国方面に乗り換え、春日駅で降りる。ここで今度は地下鉄都営三田線に乗り換えるわけだが、
「かすが、とぅーす!ギャハハハ!」
もう一度タクが同じボケをかます。タクにとっては春日といえばオードリーなのだろうけど、僕の世代だと春日と言えば三球照代なんだよなあ。地下鉄だけに。
「地下鉄はどうやって地下に入ったか?」
今度Rとタクに聞いてみようかしらん。夜も眠れなくなったりして。
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11月01日(月)
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