ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■いまさらJARO
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週末もなにかと忙しく、家に帰って来ても子供達は寝ていて触れ合えないので、せめて嫁と触れ合うかと思いおヒップをひとなでしたら

「やめてよ!」

スカートめくりされた小学生女子みたいな反応をされた。夫婦なのに。嫁は僕の手を振り払いながら言う。

「ところでR(7才の娘)とタク(5才の息子)が一緒に写ってる写真ない?」

嫁がこのような写真をよこせと言う時は大抵何かに投稿するときである。ミニコミ誌の表紙オーディションとか、なんかの商品の読者モデル応募とか。

以前は僕とRとタク3人の写真が利用された。某食材宅配システムのカタログで僕らがニンマリした写真が載り

「なんたらハンバーグ、親子で大好きです」

というコメントが加えられていた。僕、そんなことひとことも言ってないのに。満面の笑みでハンバーグ大好きって、ジャンクフード漬けの小室哲哉みたいでイヤだなあ。

「またアレか、ねつ造の広告か」

お前はそれに喜びを感じるのか、と追求したら

「まるっきりウソじゃないのよ。『子供が好きです』ってアンケートに答えると『親子で大好き』って載るのよ。1のものを10にも100にも、みたいな」

「ウソ。おおげさ。まぎらわしい。そのまんまじゃねーか」

「私が撮った写真もあるんだけど。もっと写りのいいのがないかなーって思って。あ、今回はあなたが写ってるのはいらないから」

あなた自体もいらない、と言われているような気がしたので僕はちょっとムキになった。

「もっとお触りさせてくれればやる」

「えー」

えー、だろうが、イヤ、だろうが、写真を渡しながらありとあらゆるみだらな行為をしてやるゼーッ。

というわけでパソコンの画像フォルダを見てみる。嫁の条件はいくつかある。

・ここ1ヶ月ぐらいの写真であること。
・Rとタクが大きく写っていること。
・笑顔であること

その条件に合う画像を探した結果…うう…なかった。ふたりともいつもチョロチョロしてるから揃って写せることってあんまりないんだよなあ。しかもピントも合って目線もふたりともこっちで更に笑顔って…。撮ろうと思ってもだいたいどっちかが飽きて逃げて行ってしまう。

「ごめん。なかった」

「あっそう。じゃあ私が撮ったのにするわ」

嫁は振り向きもせずノートパソコンをいじっている。子供の写真1枚も用意出来ないんかこの甲斐性無しが、とその背中が嘲笑っているような気がした。

写真を提供することを条件にしたがために、その条件が足かせになって手ぶらでみだらな行為を要求出来なくなってしまった。

ヤラセ広告してんだから夫にもヤラセてくれよー。

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10月17日(日)
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