ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■天国への会談
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日曜日の午後、亡き父の送り盆を行なった。
地方によって異なるだろうが、ウチの場合は提灯に火を灯し仏壇に供えていた物を墓地に返す。
子供達にはまだ物珍しく思っているであろうこの風習を
「お盆って言ってね、死んだ人がおうちに帰ってくるんだよ」
と説明している。そろそろみんなでお墓に行くべ、ということになって、
「じゃあこれからおじいちゃんを送りに行くから、お線香をあげて『のんのん』しような。おじいちゃんは天国に帰って行くんだよ」
娘・R(6才)と息子・タク(3才)に言ったところ、タクはおりんをカーンカーンと景気よく鳴らして
「また来てください!」
と深々とお辞儀をした。まるで本当に父がここに来ているようで微笑ましい。一方で娘・R(6才)は線香に火を付けると絶対に近寄らなくなる。煙が大嫌いなのだ。
「ほらほら、Rちゃんも離れててもいいから『のんのん』して」
おりんを鳴らすのが大好きなタクと、線香が大嫌いなR。こんな子供達を父はどんな顔で見てくれているのだろうか。生きている内には孫の顔を見せてやれなかったことが心残りだ。僕も明日か何十年後か分からないが、いつか仏壇の向こう側からこの子達を見守ることになるのだろう。
線香をあげた後、供物と提灯を持って墓地へ。ウチの田舎では供物を墓地の入口に置く。筵の上に、果物やほおずき、脚をつけたキュウリとナス。
「このキュウリはおうまさん?」
とRが聞く。
「そうだよ。おじいちゃんはキュウリのお馬さんに乗ってやって来て、ナスの牛さんに乗って帰って行くんだ」
こうして地元の民俗を次世代に伝えていくんだなあ…。あ、そういえばほおずきを供える意味は何かあるのか、と思い母に聞いてみたら
「知んね」
ひどい!民俗が途絶えてしまった。
お墓でまた線香を供えるので、古新聞に火を付けて線香の束に火を移そうとした。いつもこれが苦手であり、
「あ、まだ束の真ん中に火が付いてない。もっとこっちに火を…うあっちっちっち…あ、折れた。落とした」
線香すべてに火が付くまでいつももたついてしまう。
「あんたはそれやるのにどれだけ時間がかかるの…」
母が呆れ顔で言っていた。はっはっは。母さん、何を今更。昔、僕がずっと学校の教師が嫌いだったことを知っているでしょう。
すなわち「せんこう」と名の付くものは苦手なのでございます。
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08月18日(火)
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