ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■よさのあきこ。
仕事から帰ってくると、嫁はいなかった。
机に封筒と嫁のメモが置いてあった。
さては

「お世話になりました。実家に帰ります」

という三行半か。汗ばんだ手でおっかなびっくり取ってみると、
封筒の送り主は嫁の父であった。
中からチケットが出てきた。

「詩吟リサイタル」

うわ。詩吟は嫁父の趣味で、年に数回こういった
イベントに出て唸っている。
要するに、「俺の詩吟を聞きに来い」というわけだ。

詩吟なんて聞きに行ったところで僕はのび太より速く
寝てしまうことうけあい。

あのビブラートかかりまくった声で

「こ〜よ〜い〜あ〜ううう人、み〜な〜美しきいいいいい」

なんて、のったらのったら詠まれたらラリホーの700倍ぐらい
効く。


だが、一応義理人情の世界で断るわけにもいかない。
チケットを見ると、日付は…明日じゃねえかよ!

「S席 5列目 45番」

思いっきりアリーナ席じゃねえかよ!
ますます断れない感じである。…行くしかないか。

しかし、「リサイタル」なんて言葉、ジャイアン以外で使ってる人
初めて見た。

それから、嫁のメモに目を移した。

「私は夜勤明けで行けません」

…逃げられた。

もう既に半ベソの状態で嫁の実家に電話してみた。

嫁母が出た。

「あの〜、お母さんはもちろん行きますよねえ?」

「やだ〜。私は行かないわよ〜」

おいおいおいおい!
母娘そろって逃げられた。

嫁の家族って…。

08月30日(金)
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