ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■嫁、手術。
嫁、入院。手術自体は速攻で終わってしまうらしいのだが嫁は

「出来るだけ一緒にいて〜」

と、嫁は不安がっているので病院に問い合わせてみたら
面会は午後八時までとのことだった。

仕事、絶対終わってないよな〜。

で、次の日の朝から手術に入るので

「じゃあ手術の前後、嫁の病室で待ってることはできます?」

せめて当日、手術前に見送って、麻酔から覚めるまで付いててやりたいと
思ったのだが

「できません!、だめです!」

電話口の看護婦にきっぱり断わられた。そして

「そばにいて欲しくないんですよ!」

と、何かケンカ売ってるような口調で駄目押しされた。

失礼な奴。

そもそも嫁が滅入っているのも、
医者が何かにつけ「もっと若かったら…」と身も蓋もなく
言う事も一因なのだ。

医者がコレなら看護婦もこれだ。

「あなた、随分な言い方ですね。名前は?」

僕は怒りを抑えて辛うじてこれだけ言った。 すると看護婦は

「あっ…あの…麻酔が効いてる間は周りの音や声が幻覚の原因に
 なってしまうんですよ。決して意地悪で言ってるんじゃないですんで…」

急にうろたえ出した。名乗りはしなかった
全く、最初からそう言えばいいのに。

そうなると8時までに行かないと手術前の嫁には会えない。
仕事を投げ出して嫁の病室に行った。殺風景な部屋だった。
嫁はぼんやりとテレビを見ていた。

「怖いか?」

「怖い」

「頑張れ」

「うん」

虚ろな嫁と話したり、じゃれあったりしていたら、
小さなノックが聞こえたや否やイキナリドアがぎいいいと開いた。

「笑ってない麗子微笑像」みたいな陰気な看護婦が顔を半分だけ出して

「面会時間はとっくに過ぎてるんでお帰り下さい」

目も合わせずにぼそぼそと言って、去った。

お化け屋敷か葬儀場か、ここは。
葬儀場の案内係だってもっとハキハキしてるぞ。

ていうか病院の斜め向かいはまじで火葬場だけど。

僕は後ろ髪引かれる思いで家に帰ったが、色々心配で眠れなかった。

あの看護婦に嫁の乳揉んでたの見られたんじゃ…。

いや、そんな心配じゃなく…。
08月02日(金)
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