ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■川越名物…も食べられずに。
タクはしばらく手裏剣の展示から離れず、一生懸命絵を描いていたら、
「ウフフ、あの子、研究してるね」
若いカップルがタクを後ろから眺めていた。
「タク、ちょっと離れなさい」
この人達にも展示が見えるようにしないと、とタクを端に除けさせようとしたのだが、
「いいんですよ」
とタクを温かく見守ってくれた。
「ありがとうございます」
いいカップルだった。是非帰ってから
「敵国に侵入したが捕まってしまったくのいちと、くのいちを拷問する敵国の殿様プレイ」
とか楽しんで欲しい。
博物館見学は終わり、じゃあ次は蔵の街エリアでも回って見るかねとしたところ子供達が騒いだ。
「おなかすいた!」
そういえばそんな時間だ。せっかく川越に来たのだから美味いものを食べるんだ、と意気込んで来たので昼飯も楽しみのひとつだった。しかし子供達が言うには
「マックがいい!」
Rとタクがここでも同時に叫ぶ。
「なんでー!」
何が悲しくて川越まで来てマックで食わねばならんのだ。ダメ、と言ったところ
「だってね、ハッピーセットでポケモントレッタがもらえるんだよ!」
とタクが泣きそうな顔で説明する。ポケモントレッタとは、よくおもちゃ屋などにある1回100円のゲームのことで、ポケモンとバトルをして倒したポケモンをゲットできる、という内容。
タクがもらえると言っているのは、ポケモンのキャラ1体のデータが入ったチップのことで、これをゲーム機にかざすとそのキャラを使うことが出来るのである。
せっかく川越まで来たんだからさー、川越の有名な店で食べようぜー、と言いたかったのだけれども、そもそも僕が川越に来ようと思ったのもやはりゲームの特典がもらえるからであり、その点はタクと同じなのだった。
「まー、血は争えないなあ…」
渋々マックに行くことを認めた僕なのであった。
「Rもトレッタが欲しいのかい?」
Rはそのゲームをやらないのにいいのかな?と思ったら
「Rはね、月見バーガー食べたいの」
とのことで…。ああ、月見バーガーね。昔僕が買ってた頃は190円だったのに、ばんばん値上がりして今は360円ぐらいなヤツね…。ファーストキッチンのベーコンエッグバーガーの方がいいよ(なんて言えない)
というわけで僕もタクに付き合わされてハッピーセットをもぐもぐ。勿論オマケで付いてきたポケモントレッタはタクにぶんどられた。Rは月見バーガーを美味しそうに。みんな食べ終わったところで
「よし、食べ終わったら蔵の街を観に行くぞ」
午後の川越観光を告げたところ
「やだ!ボウリング行く!」
「そうだ!もうガマン出来ないよ!」
僕に付き合っていた子供達はあっさりガマンの限界が来たらしい。
「えー。せっかく来たんだから…」
「ボウリング!」
「蔵の街、栃木みたいでいいよ?」
「ボウリング!」
僕がいくら言い聞かせようとしても、Rもタクももう頭の中はボウリングしかない。観光はとっとと切上げないとグレそうになってきた。
そんなわけで川越観光は諦めてボウリングに行くことにしましたとさ。説得しようとしたけれども、匙を投げてしまったことよ…。
あ、匙を投げるんじゃなくて、球を投げに行くんだっけ。
なんとこの日記は続きます。
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09月10日(火)
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