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えすぱっ子
by ひかる。
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■Jユース杯 大分トリニータ戦 (H)
 3年前に高円宮杯全日本ユースで対戦した両者 (観戦記)。この試合は清水が勝利したが、ガンバ・追浜を倒した大分がグループリーグを突破し、決勝トーナメント1回戦で名古屋も破ってベスト8に進んでいる (優勝した浦和に敗退)。3年前の試合、強風の中で前半に追い風に立ちながら殆ど攻められなかった清水が、しかし後半、プレスの足が止まった相手を波状攻撃で突き放した試合だった。当時の試合を知る者は、先発で清水が柴田・望月恭・西澤・柴原・佐野傑の5名、大分は岸田翔・三好の2名のみ。先発全員がJrユースからの昇格生である清水に比べ、大分は5名なのがその原因だろう。学年構成は清水は3年生5人・2年生3人・1年生3人、大分が3年生5人・2年生4人・1年生2人と、あまり変わらない。

 攻撃をつくりたがる清水に対し、無理な位置からでもシュートで終わらせる大分の違いはあったが、序盤は拮抗。しかし、前半の半分を過ぎたあたりから、清水MFが攻撃をつくりはじめる位置で、大分の激しいプレスに引っかかるようになる。序盤の拮抗は、運動量豊富に各所で繋ぎに入る西澤の貢献が大きかったが、その西澤のショートパスが止められ、清水の攻撃は成田や佐野傑が無理にでもマークを抜き去ることに賭けざるをえない (そして、それは殆ど失敗した)。決定的だったのは30分、オフサイドラインが乱れてFW岸田和にシュートを許した場面 (柴田のセーヴ)。その後は防戦一方となるが、それが集中力を高めたか、何とかスコアレスで試合を折り返した
 最大のピンチは、ハーフタイムで一区切りつけた直後の46分に訪れた。ドリブルで中央に持ち込んだRH清武とDFを背負う岸田和がスイッチ。清武が中央に走り抜けることで清水DFをそちらに釣り出し、大きく開いた右サイドに長い距離を走ったRB岸田翔が飛び出し、そのままフリーでシュート。集中力が完全に欠如した場面だったが、GK柴田のスーパーセーヴがチームを救った。それからも大分の攻撃は続くが、前半から飛ばしてきたプレスの勢いが弱まるにつれてトーンダウン。清水はようやく60分、ロングボールを畑が頭で落としてCH青木のロングフィード、左サイドを破ったLH成田が戻したボールを再び青木が受けてミドルを放つ。私の記録では実にこれが清水の初シュートだったが、続く64分のセットプレーで先制点は清水にもたらされるのである。内容に不公正な結果ではあるが、サッカーではよくあることとも言える。
 73分に東の左CKから刀根がヘディングシュートを放った場面こそ決定的だったが、その後の大分は運動量が著しく落ち、ポゼッションすら清水に譲ってしまう。中原や石原といった1年生を使う余裕もできた清水は、79分に長短のパスとドリブルを交えた綺麗な崩しであげた追加点で勝利を確実にし、そのまま余裕を持って逃げ切った。

 前半の逆境を耐えて後半の反抗に繋いだGK柴田。小さな体格を高い運動能力でカバーする彼は、菅野・川口同様、長身GKなら何でもないシュートがスーパーセーヴに見えるという側面が確かにあるのだが、だからといって彼のプレーがチームに勢いを与えた面は否定できまい。至近距離でのシュートへの超反応を余すことなく発揮し、セーヴ数11、うちPA内シュートを7本止めた。その柴田を支えたのがJrユースからのDFリーダー、望月恭。飛び出しが果敢に過ぎる面のある柴田に代わって、冷静な判断で広範囲をカバー、守備を引き締めた。広い視野は攻撃にも生かされ、ビルドアップの起点として左右にパスを捌いた。1年生の柴原は得意のドリブルを止められることも多く、まだまだ課題は残るのだが、それでも2点に絡むのはさすが。どうしようもない体格差に対し、正確なトラップと正しい位置への持ち出しで対抗している。

10月12日(日)
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