ID:633
TAKANORHYTHM
by Tomoe
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■“LAST HEAVEN” MAKUHARI -Thank You Rockers- PART 1
最後の曲が終わっても、皆、呆然としていた。
最後だなんて信じられなかった。
アンコールの手拍子すらできず、ステージを凝視していた。
暗いままのステージ。
両横のスクリーンに、1文字ずつ、文字が浮かぶ。
「Thank You Rockers I Love You Baby」
そして私たちは知った。ミッシェルが終わったことを。
どんなに呼び戻しても、彼らはもうステージに戻って来ないことを。
サタニックのSEでもいつものようには踊れなかった。
最高のステージの余韻が体に残ったまま、
スクリーンに映る、ファンたちの顔を眺めていた。
これがきっとフジやDVDでミッシェルのラストライヴの映像として流れるのだろう。
感動的な場面として。
だが、終わった瞬間、会場を覆っていたあの不思議な気分は、画面からは感じられないかもしれない。
私の周囲で泣いている人は少なかった。
(黙って涙を流している子はいたが、声を出している子はいなかった)
ぼんやりと、楽しかったな、と思う。
もうないんだな、というのがまだ実感できない。
いつもの通りの楽しいライヴが二度と戻ってこないなんて。
同時に、なんだかすがすがしい気分も感じていた。
私たちは、メンバーとファンたちは、きっと今日という日を最高の日にできたんだと勝手に思った。
ミッシェルのラストライヴを、しけたステージで終わらせてはならない、と
皆思っていたんじゃないだろうか。
いつも以上に彼らの演奏を楽しみ、踊り、暴れて、悔いのないライヴにしたかった。
3万人以上いた中には、あまりマナーのよくない人もいたと聞く。
ステージに向けてではないが、ペットボトルを投げた人も、
静かな曲でうるさく騒いでいる人も、無理にダイブをしようとした人もいたという。
それでも大半のファンは、最後のライヴを心から楽しんでいた。
ときどき私の目に映ったジャンキーズの表情は、心から嬉しそうに輝いていた。
私たちは幸福だ。
ミッシェルというバンドに出会えたこと。
彼らと一緒に踊れたこと。
毎回ツアーに出かけた人、あまり出かけなかった人、
ミッシェルを知って人生が変わった人、そうでもなかった人。
それでもミッシェルに出会えて良かったと、たいていの人が言うだろう。
私はミッシェルとミッシェルのファンが大好きだった。
ラストライヴが、ペットボトルを投げるような人で台無しにならないよう、
イベンターに対策を求めるための署名をした人々。
(幕張でもペットボトル持込は不可だったらしい)
メンバーへのメッセージを送ろうと、白い旗に寄せ書きをしていた人々。
追加のチケットを買うため情報を交換し、余ったチケットを譲り合い、
「譲ってください」のボードを持って会場の周りに立ち、
ダメなときは会場の外で皆で音漏れを聴き、いち早く感動を伝え合った人々。
チバはファンに向けて「ロックンロール・ジャンキーズ」とか「ロッカーズ」とか
呼びかけることが多かった。
パンフに載っている会報の文章を見ていると、
楽しげなチバの声が聞こえてくる気がするよ。
名も知らぬロックンロール・ジャンキーズへ。
ミッシェルは私たちに笑顔や喜びをくれた。
今までもらった笑顔の分、今はたくさん泣こう。
いつか、寂しさがふと軽くなる日が来るだろう。
人は忘れていく生き物だから。
それでも彼らが好きなら、また曲を聴こう。
ミッシェルのライヴを知らない人々に、どうしてそんなに好きなのと聴かれたら、
彼らがくれた感動を伝えよう。
ミッシェル・ガン・エレファントはただのロックンロール・バンドだ。
世界中にいる、名もないバンドと変わりはしない。
だけど、私たちにとってはかけがえのない4人だったと。
たとえ忘れてしまっても彼らは怒りはしないだろう。
けれど、音楽を聴くことはやめちゃいけないと思う。
ギターとベースとドラムと歌だけで、人はこんなに楽しくなれると、
彼らの音楽は告げるのだから。
ミッシェルと、すべてのファンを愛している。
あんたたちは本当に最高だった。
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10月12日(日)
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