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活字中毒R。
by じっぽ
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■『とどろけ!一番』の「長期連載を実現するための驚愕の裏技」
『定本コロコロ爆伝!! 1977-2009』(渋谷直角編・飛鳥新社)より。

(関係者へのインタビューや当時の資料から、『コロコロコミック』(小学館)の創刊32年の歴史をまとめた本から。第3代編集長の平山隆さんとマンガ家・すがやみつる(『ゲームセンターあらし』)、のむらしんぼ(『とどろけ!一番』『つるぴかはげ丸』)両氏による鼎談「『コロコロ』らしさは『あらし』『とどろけ!一番』から生まれた」の一部です)

【平山隆:まず最初に僕が言いたいのは、「ゲームセンターあらし」っていうのは、児童マンガの歴史の中で非常にエポックメイキングな作品だったと思うんです。なぜかというと、それまでのマンガは実際に存在するアクションを描いてるわけ。野球マンガならボールを投げて打つ。ボクシングマンガなら殴って殴られる。でも「ゲームセンターあらし」は、子供たちがゲームをやっているところを描く。実際はコントローラーに向かって手を動かしているだけなんだけど、彼らの頭の中にはものすごい大宇宙が広がっていて、レーザー光線が飛びかっているわけですよね。『スターウォーズ』のような世界が彼らの頭の中にはある。すがや先生が新たに切り開いた手法というのは、子供たちの頭の中にある、想像の世界を具現化して、マンガとして成り立たせた――そこを開拓したマンガなんです。

すがやみつる:そ、そうだったのか……!(笑)

平山:それ以前にも、似た感情表現はあったけど、作品の構造がそうなっているものはなかったと思うのね。ここが児童マンガとして、表現の地平を一気に広げた新しさがあった。子供たちは批評家じゃないから、それを分析したりはしてないけど、「ゲームセンターあらし」という作品にみんながワッと飛びついたのは、そういう新しさがあったからだと思う。
「ゲームセンターあらし」が成功して以来、僕たち編集者が何を思ったかというとね、「もう、マンガにできないものはない」(笑)。そこで出てきたのが、のむらさんの「とどろけ!一番」というわけ。

のむらしんぼ:おおー。いや、もう、その通りですね。

平山:テストの答案を書くという作業。それがアクションマンガになる。「ゲームセンターあらし」が表現を広げてくれたおかげで、答案を書くこともひとつのイメージの画としてアクションにできた。そこからは、釣りでもなんでもアクションマンガにできた(笑)。

のむら:「釣りバカ大将」ですね。

平山:「ドラえもん」というひとつの大きな軸足ともうひとつ、あの時代から今につながる『コロコロ』らしさっていうものが、「あらし」から生まれたのかもしれない。なんでもマンガ、なんでもアクションにできるんだ、っていう。ラジコンもミニ四駆もすごいアクションになる。その大本が「ゲームセンターあらし」なんだよね。

すがや:平山さんに言われたのが、「すがやさん、ゲームの最後はあらしを宙返りさせてください」って(笑)。僕、「えっ?ゲームって、椅子に座ってテーブルでこうやるんですよ?」って言ったの。だけど平山さんは「ゲームでトドメを刺すのは空中回転してなきゃおかしい!」。それで僕、「どうしよう……」って、すごい考えこんじゃって(笑)。

のむら:それ、すっごいわかります!僕の時もおんなじで、「とどろけ!一番」の最初の読み切りの時、平山さんが「逆立ちしてテストの答案を書かせたい」って(笑)。

すがや:それで、僕も「1回きりだからいいか」って、割り切ってあらしを逆立ちさせたんです。人気もその時そんなに良くなくて……。ゲームも「ブロック崩し」だったし。

平山:いや、ウケたよ。あの時も。ただスケジュールが決まってたから、ウケたけど、次の号からすぐ、ってわけにはいかなかったんじゃないのかな。

すがや:次の年の『ウルトラマン増刊号』で、「スペースインベーダー」の話が載って、「ウルトラマン」より票を取って1位になっちゃって。それで急遽本誌連載になったんですよ。


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06月14日(日)
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