ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「コピーライターとしての資質を一瞬で見抜く」ための、たった一つの質問
『質問力』(齋藤孝著・ちくま文庫)より。
(「コピーライターの資質を一瞬で見抜く質問」という項の一部です)
【谷川俊太郎さんの質問もすばらしいが、もうひとつダ・カーポ別冊『投稿生活』(2002年6月1日号)という雑誌に掲載されたコピーライターの仲畑貴志さんのインタビューに、秀逸な質問の例があったのでここに紹介しておこう。
仲畑さんの事務所でコピーライターを募集した時の質問だ。仲畑さんの質問をご紹介する前に、一瞬自分で考えてみて下さい。
「もし自分が経営者でコピーライターの社員を雇う場合、あなたは入社試験でどんな質問をするでしょうか?」
質問自体はコピーライターの専門家でなくても何とか考え出せるものだ。だがよい答は難しい。
仲畑さんの質問は「あなたがいいと思うコピーを10個書いてください」というものである。仲畑さんによれば、この答を聞いただけでだいたい能力がわかるというのである。もしあげた10個のコピーがセンスの悪いものだとすればその人に見込みはない。センスの悪いコピーライターを雇ってしまえば、その人に毎月払う給料はドブに捨てているようなものだ。経営者にとっては深刻な問題である。
よいコピーが生み出せるかどうかは、世に出ているコピーの良し悪しを見分けるセンスと密接に関連している。審美眼があれば、自分の作ったコピーがよいものか判断できる。よくないものであれば、もっとよいコピーを思い出してブラッシュアップしていくだろう。
しかし自分がインパクトを受けたコピーがよくないものだとすると、いくら自分のコピーにヤスリをかけようとしても、ヤスリ自体がよくないのだからブラッシュアップしていきようがない。
10個あげたコピーを見れば、その人の傾向がはっきりわかる、具体的かつ本質的な非常にすぐれた質問といえよう。この質問は応用がきく。
たとえば「あなたが今までの人生でインパクトを受けた本を10冊あげてください」とか「映画をあげてください」とか「人物を何人かあげてください」など、ヴァリエーションを付けられる。問いの構造がしっかりしているので、その業界ごとに変化させればいい。たまたま出た質問ではなく、よく練られた、構造がすぐれている質問である。
そもそもコピーを10個あげられない人がいれば、勉強不足である。最近は入社試験でしっかり業界研究せずに、ただ憧れで受けてしまうことがある。だから最低限勉強して来いというメッセージも含まれる。また母集団が20個から10個選んだのか、1000個から10個選んだのかで、その10個は違ってくる。10個出せるかどうかも重要だが、選んだ10個の母集団も重要である。
たとえばお菓子業界のコピーだけをあげてくれば、その人は非常に片寄った勉強をしていることになる。一方いろいろなジャンルから選ばれていれば、アンテナの幅が広い証拠だ。答から、それが出された貯水池の奥行きを推しはかることができる。】
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「おしりだって、洗ってほしい」(TOTO・ウォシュレット)、 「目のつけどころが、シャープでしょ」(シャープ)、「反省だけなら猿でもできる」(大鵬薬品工業・チオビタドリンク)など、さまざまな名コピーを生み出してきた仲畑さんの「コピーライターの資質を一瞬で見抜く質問」の話です。
受ける側としては、こういう「あなたがいいと思う○○を10個挙げてください」というような質問をされると、正直、「この面接官、気がきいた質問を何も考えてないんじゃないのか?」などと考えがちなのですが、こういうふうに、「なぜそれを聞くのか?」と解説されてみると、ものすごく効率的かつ本質的な質問であるということがよくわかります。
つきつめていけば、このひとつの質問の中には、「10個挙げられるか?」「ちゃんと『面白い』コピーを選べているか?」「コピーのジャンルや作者が偏りすぎていないか?」「いいと思うコピーを挙げていく順番(最初に挙げたもののほうが、優れていると感じているものでしょうから」などのたくさんのチェックポイントがあって、「知識量」「センス」「バランス感覚」などがこれだけでわかるのです。
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02月26日(火)
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