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活字中毒R。
by じっぽ
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■『ジョジョ』と『ポストペット』の奇妙な関係
『ユリイカ』(青土社)11月臨時増刊号「総特集・荒木飛呂彦――鋼鉄の魂は走りつづける」より。
(「男たちの奇妙な愛情!?」と題した座談会の一部です。出席者は、荒木飛呂彦先生と斎藤環さん(表象精神病理学者)、金田淳子さん(社会学者)。2007年10月27日に収録されたものだそうです)
【斎藤環:でも真面目な話。現実にもスタンドはすごくクリエイティブなほうに役に立っていますよね。アーティストの八谷和彦さんが作った『ポストペット』というメールソフトがあって、モモというピンクのクマとかが大人気なんですけど、あれは重ちーのハーヴェストから思いついたらしいですよ。
荒木飛呂彦:そうなんですか。面白いですねえ。あれはレコード屋のクーポン券を集めていて思いついたんです。集めるとCD貰えたりしたじゃないですか。その辺に落ちてたりするから。これを集めてくるやつがいたらいいいなあって(笑)。
金田淳子:えらく庶民的な話ですね(笑)。でも皆でしゃべていて、どのスタンドが欲しいかという話になった時、やっぱり日常生活でスタープラチナは役に立たないから、皆ハーヴェストって言いますね。あれが荒木先生の物欲から生まれたスタンドだったとは……ますます好きになりました(笑)。でも、ただのせこいスタンドかと思ったら、意外にすごく強いところもまた魅力ですよね。仗助と億泰のコンビを敵にまわして互角の戦いを展開した。
荒木:あれがスタンドの最初の発想なんです。一見弱いと思った人間をどうやって強くするかという。
金田:この能力って意味ないんじゃないかというものを上手く戦いに組み込みますよね。
荒木:で、悪役が全員前向きなんです。
金田:私もシリアルキラーのくせに異常に前向きな吉良吉影とかすごく好きなんですけど。
荒木:前向きにするって決めたんです。前向きにしていないとストーリーが破綻しちゃうんで。少年マンガが破綻しちゃうんです。吉良吉影のかわいそうな部分も本当は描きたかったんですけど、でも描いちゃうと暗いし、敵にならないんですよね。
金田:吉良吉影の「わたしは人を殺さずにはいられないという「サガ」を背負ってはいるが……「幸福に生きてみせるぞ!」」っていうあの前向きさにひきこまれましたね。私もいろいろダメなサガを持っているので。だから吉良吉影が倒されちゃったのはちょっと悲しい。
荒木:まあ、悪い人間ですからね。あれを生き延びさせちゃうとちょっとまずい。そう言えば、乙一君も「吉良吉影に救われました」って言ってたね(笑)。
金田:乙一さんも暗いサガが多そうですもんね(笑)。ノベライズ版楽しみにしてます。
荒木:あれがすばらしい出来なんです。
金田:そうなんですか! 11月16日に出るそうですけど、その日は私の誕生日でもありまして、荒木先生と乙一さんからの誕生日プレゼントだ!って勝手に思ってました(笑)。
荒木:じゃあ送りますよ。
金田:えーーーっ! なんで荒木先生はこんなに偉いのに、超やさしいんですか?(笑)
荒木:わかんない(笑)。先輩に虐げられてるからだと思います(笑)。
金田:こせきこうじ先生はそんなに厳しかったんですか?
荒木:そうですね(笑)。僕より上の漫画家って皆怖いんですよ。
斎藤:秋本治先生なんかはどうなんですか?
荒木:秋本先生はやさしいですよ。僕は仕事のしかたとか全部、秋本先生を見習っていますからね。締切には絶対に遅れないとか週休二日は取るとかパーティには絶対に出るとかね。
金田:どうしてそんなことが出来るのか不思議ですよ。あの絵の密度をきっちり5日とかで仕上げられるのは神業としか思えない。やっぱりベタなんかは筆でパッとドリッピングでやったりするんですか?(笑)
荒木:しないって(笑)。普通にやってます。あくまで岸辺露伴は漫画家として僕の憧れの姿というだけで、あれを僕のキャラクターと思ってもらったら困る。】
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12月27日(木)
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