ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■映画関係者の予想を裏切った『恋空』
『日経エンタテインメント!2008.1月号』(日経BP社)の記事「インサイドレポート」の「『恋空』『クローズ〜』大ヒット 映画界の読みがはずれたワケ」より。
【『恋空』『クローズZERO』の予想外の大ヒットに映画界が沸いている。映画関係者の公開前の予想では「どちらも興行収入で10億円から15億円程度ではないか」との声が多かった。しかし、最終的に『恋空』が40億円、『クローズZERO』が27億円程度を見込んでいる。
『恋空』の中心客層は女子中高生で、彼女に連れられて見に来る男子中高生も多い。逆に『クローズZERO』は男子中高生を集めている。主演の小栗旬目当ての10代20代の女性も多い。
映画関係者がいかに2作品に期待していなかったか、上映館に如実に現れていた。例えば東京・渋谷では、『恋空』がシネフロント(座席数245)、『クローズZERO』がアミューズCQN(座席数200)。東宝配給作品は、ヒットが見込める作品の場合、東宝系の渋東シネタワー(座席数252、346、610、794の4館)で上映される。配給元の東宝自らがヒットに自信がなかったといえるだろう。
シネコンも同様だ。特に『恋空』の初日2日間は、チケットが上映2時間前に売り切れるシネコンが続出。大ヒットにならないと予想したシネコン側は座席数の少ないスクリーンで上映した結果、映画を見られずに帰ったり、代わりにほかの映画を見る中高生を多数生むことになった。
現在の映画興行界を支える観客は30代の家族連れで、10代は最も映画を見に来ない。だから映画界は、いくら人気のケータイ恋愛小説とヤンキーマンガが原作とはいえ、期待値は高くなかったのだ。
2作品を製作したのがTBS。同社の目利きがズバリ的中した。】
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そういえば、ちょっと前に僕が『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を観に行ったとき、地元のシネコンのチケット売り場に平日のレイトショーにもかかわらず若い男女が大勢行列していたんですよね。
「おお、さすが『ALWAYS 続・三丁目の夕日』はテレビで前作も放映されてたし、人気あるんだなあ……」と思っていたのですが、その大勢の人たちが、『恋空』入場開始のアナウンスとともに、一斉に館内に入っていたのには、かなり驚いてしまいました。
ええっ、本当にみんな、『恋空』なんか(すみません、僕は観たことないんですけど、そういう先入観を持ってたんです)観るの?って。
それにしても、まさかあの『恋空』の映画がこんなに大ヒットするなんて、夢にも思いませんでした。映画館で予告編が流れているときも、「おお、新垣結衣ちゃんはかわいいねえ。でも、ケータイ小説原作だから、所詮ネタ映画だろ……こんなの誰が観るんだ?」などと内心、小馬鹿にしていたのに。
『クローズZERO』も、「この時代にヤンキー漫画なんて……誰が観るんだこれ?」という感じだったんですよね。原作も知らなかったし、公開前にキャストがテレビにプロモーションで出ていたときも、「こんな映画宣伝してもしょうがないだろ……」とか、半ば呆れていたものです。公開前に僕が聞かれたら「興行収入10億」という予想だって、「そんなにヒットするわけないだろ……」と苦笑していたはず。
この記事を読んでみると、関係者ですら、そんなに大きな期待をしていなかったということがよくわかります。むしろ、映画に詳しい人たちだからこそ、「こんなの売れないだろうな……」という先入観を持ってしまったのかもしれません。
言われてみれば確かに、10代、とくに中高生って、最近あんまり映画館で見なかったような気がします。レンタルしてきた作品を家のDVDプレイヤーで再生することに慣れており、「映画を映画館で観る」ということに特別な感慨を抱かない彼らにとっては、「映画館で観るとお金がかかる」だけなのかもしれません。だからこそ、製作側も「中高生をターゲットにした作品」も作ることに躊躇するという悪循環。
でも、『恋空』や『クローズZERO』の大ヒットから考えると、中高生にも、潜在的な映画への需要はあった、ということなのです。『恋空』をきっかけに、ほかの映画を観てみようと思った人もいるかもしれませんし。
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12月14日(金)
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