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活字中毒R。
by じっぽ
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■セブン−イレブンの「コンビニでおでんを売る秘訣」
『セブン−イレブンおでん部会』(吉岡秀子著・朝日新書)より。
【おでん部会には、高谷のほかに、もうひとり重鎮がいる。サタケ食品研究所長の佐竹武司だ。確かに、他社のおでん担当MD(マーチャンダイザー:仕入れルートの開拓や既存商品の改良、価格設定などの幅広い商品政策(=マーチャンダイジング)業務の担当者)から、「セブンのおでんを作るメンバーに佐竹さんって人いるでしょ?」と、質問されるので、業界ではやり手と有名らしい。おでんを売る秘訣は何か?と聞いてみた。すると即座に、
「大根とたまごをめちゃくちゃおいしくする」
と、答えが返ってきた。
前述したとおり、地域によって売れる具はばらばらだが、どの地域でも売上トップ1位、2位は大根とたまご。アサヒビールお客様生活文化研究所が2004年に、成人男女1674人に「好きなおでんだね」(複数回答)アンケートをおこなっている。結果は、大根が79.8%でダントツトップ。続いてたまごが71.0%。3位のこんにゃくは41.3%と、大根とたまごの人気は、他を寄せ付けない。この定番を、どのチェーンよりもおいしくすれば、おのずとおでんの売上は伸びるというのだ。
セブンのおでんの大根は、90年代から契約した専用農家で作っている。コンビニおでんが消費者の間に定着した当時、いち早く「大根を差別化商品に育てる」取り組みがスタートしていたのだ。まず、名産地である鹿児島県の契約農家を集め、土壌を肥沃な土質に育て直すところから着手した。土の状態を見る専門家が常駐してチェックを重ねる。並行して畑の片隅に加工工場を建て、収穫後、すぐ加工できるようにした。鮮度を最重視したのである。おでんの大根はサイズが厳しく指定されているから、中サイズの大根1本からは6個のおでんだねしかとれないが、端物はおろし大根に、葉っぱはフリーズドライにして味噌汁の具にと、すべてを残さず使っている。
その大根。2005年は「下ゆで」と「隠し包丁」という工程を加え、2006年は、調理工程に使うすべての水を浄水器に通した水に変更し、大根本来の苦味と甘みを増す工夫をした。こうした手間ひまで、年間4万トン以上の大根が売れ、毎年、売上1位を確保している。さすがに強い。
ある日、佐竹と高谷は、そろってたまご部会に出席していた。隠し包丁、浄水器導入と、おでんだねキングながらブラッシュアップを続ける大根部会に負けていていいのかと、たまご部員にハッパをかけていたのだ。
個人的には、セブンでおでんを買うときは、大根がロールキャベツになるときがあるが、たまごは絶対といっていいほど買う。セブンが取引しているたまごメーカー、イセデリカの「デリシャス玉子」は、セブンの”留め型”だと、サンドイッチの取材のときに小耳にはさみ、注目していたのだ。
おでんのたまごを買わない人に理由を聞くと、大きく2つの理由があるという。ひとつは「たまごアレルギーだから」。もうひとつは「黄身のニオイがいや」。前者は残念ながら体質的なことなのでふれずにおくが、後者は納得できる。イセデリカでは、その臭みを低減するために、たまごを産むにわとりの飼料にオレガノ・シナモンなどのハーブ類をまぜ、黄身の甘みや色みを強めるためにバニラやマリーゴールドの花弁抽出エキスまで加える工夫をしているそうだ。理由はそれだけではないだろうが、なぜか、セブンのおでんのたまごは黄身がしっとりとしているように思う(90年代は殻つき重量52〜61グラムの小ぶりのものを使用していたが、2002年から、適度な食べ応えのある58〜70グラムのたまごを使用)。
にもかかわらず、おでんの重鎮たちは、「来年はたまごを変えよう」とまで言い切った。部員のイセデリカもケンコーマヨネーズも、「もっと新しい挑戦をしなくちゃいけませんね」と、厳しい顔つきをしていた。これ以上、どこをどうやって改良するのだろう。興味津々である。大根もたまごも、シンプルなものだけに毎年改良するのは至難の技だ。なのに、毎年どこかが変わっているのだ(他の具材も同じ)。この微妙な変化にひかれて、おでん好きは、ついセブンに立ち寄ってしまう。】
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10月23日(火)
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