ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『セカンドライフ』が面白くない理由
『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』(ひろゆき(西村博之)著・扶桑社新書)より。

【2007年に入り、多くのマスメディアを沸かせているインターネット上の3D仮想現実空間『セカンドライフ』。つまらないだろうと思い、最初は触ってもみなかったのですが、それで否定するのも問題があります。そこで、実際に動かしてみたところ、やはり、つまらないという結果に落ち着きました。
 その理由の根幹にあるのが、基本的にお金がないと面白くないというシステムです。物を売買し、自分を着飾ったり、家を作り上げたりするゲームなので、何するにせよお金を払えとしか言われない。お金を支払わないでできることはチャットくらいという、商行為がゲームのすべてなのです。ゲーム内で楽しむためにお金を支払えと言われて、支払う人がどのくらいいるのでしょうか? お金を支払ってまでセカンドライフの中で楽しまなくても、現実に楽しいことは、たくさんあります。
 セカンドライフ内に知り合いが大量にいて、チャットをすれば面白いかもしれない、とも考えましたが、セカンドライフでは一つの空間(ISIM)にユーザーが約50人しか入れないという制限がある。これだけマスメディアがセカンドライフを報じているにもかかわらず、なぜか、この事実にあまり触れません。
 以前、セカンドライフ内で、U2がライブを行ったのですが、やはり50人ずつの入れ替え制。新車の広告を出したとしても、頑張っても約50人しか見られない状態なのです。
 セカンドライフに広告価値があると、多くの企業が参入をもくろんでいるようですが、1回あたり約50人しか見られないようなものに、企業がいくらの広告費をかけるのでしょうか? 計算すれば広告費が出るはずもない現実があるのです。
 日本人ユーザーを考えてみても、企業が広告費を出せるはずがないことは見えています。セカンドライフの登録ユーザー数は、2007年4月中旬の時点で、全世界で650万人ほどですが、日本人の登録者数が約1万人。そのうち、セカンドライフを使っている日本人ユーザーは、ほとんど全員入っているであろうSNSの登録者数が2000〜3000人ぐらいであることから、多くても3000人程度だということが見えてくる。これは、小規模なチャットスペースとそんなにユーザー数も変わらない。
 企業がマーケティングと言いながら、セカンドライフ内で3Dのモーフィングされた製品などを見せていますが、そのことでユーザーが心惹かれ、本当に商品を買う気持ちになるかも微妙です。車がCGで見られ、パソコンの中で運転できたとしても、買う人は少ないでしょう。今、セカンドライフに企業が広告を出しているのは、それだけでプレスリリースが打て、マスメディアに取り上げてもらえる可能性もあるというレベルの話です。
 このほかに企業がセカンドライフに進出しようとする背景には、製品を3DのCGで見せることができ、誰にでも理解しやすい、ということもあるようです。確かにミクシィでコミュニティを作りマーケティングを行うよりも、”自動販売機に車が!”という驚きとともに製品を見せることのほうが、インターネットを理解していないお年寄りの偉い人などへの説明は、簡単なのかもしれません。
 そういったことを狙ってか、コンサルタント会社には、大企業からのセカンドライフに関する引き合いが多いという話も耳にします。しかし、セカンドライフ内で広告を出すためには、建物などを作るためのモデリングツールのデザイナーが必要。そのデザイナーが日本には少なく、コンサルタント会社は仕事が受けられないというジレンマもあるのだとか。『デジタルハリウッド』がデザイナーの養成講座を行っていますが、まだ完全日本語化される前で会員数も少ないにもかかわらず、大々的にこのような講座が行われている。セカンドライフバブルなのです。】

参考リンク:業界人が告白〜Second Life「企業が続々参入」の舞台裏〜 ITmedia News

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 参考リンクのほうも、ぜひ御参照ください。


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08月24日(金)
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