ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■伝説のホテルマンが語る「VIP夫婦への『おもてなしの極意』」
『伝説のホテルマン「おもてなし」の極意』(加藤健二著・アスキー新書)より。

(「国内外の政財界要人から敬愛の念をこめて”ミスター・シェイクハンド”と呼ばれたホテルマンであり、キャピトル東急ホテルのエグゼクティブコンシェルジェとして活躍された加藤健二さんの「おもてなし」の一例)

【どれほど素晴らしい設備を備えていても、ホテルマンの対応が期待はずれだったり、嫌な思いをしてしまったら、それ以後、お客様の足は、二度とそのホテルには向かないでしょう。逆に、多少施設が古かったり、インテリアが豪華でなくても、ホテルマンの対応が素晴らしければ、間違いなく「またこのホテルに来よう」と思うはずです。
 それだけ、ホテルマンのサービス、言い換えれば「おもてなし」が大切だということです。
 では、そうしたおもてなしをするには、どうしたらよいのでしょうか。
 それこそ、ハンデル総支配人がいっていたように「お客様お一人お一人をしっかり見て、お客様の立場に立って、何をすべきかを考える」ということです。
 かつての東京ヒルトンホテル時代、欧米のトップビジネスマンたちのなかには、仕事で来日される際にも奥様を同伴される方が多くおられました。そのころ学んだことがあります。奥様を連れてこられたお客様には、お客様ご自身よりも、奥様に気を遣ったサービスを心がけるということでした。
 ホテルを決めるのも、またビジネスで頻繁にホテルをご利用いただくのもご主人の方です。普通なら、ご主人の方に目を向けてサービスする方が、ホテルにとってメリットが大きいと思うかもしれません。しかし、そうではないのです。
 ご主人はビジネスに忙しく、奥様が異国でのホテル生活を楽しんでいるかどうか、十分に気配りすることができません。そこをホテルマンが代わりにサービスするわけです。
 たとえば、ご到着の前に奥様へのお花をお部屋にご用意しておく、というのも気配りのひとつです。また、奥様がロビーに降りてこられたときには、「何かお困りのことはありませんか」とこちらから声をおかけします。そして一言「ご主人様より、滞在中、奥様にご不自由ないようにと言いつかっておりますので」と添えるのです。
 また、お一人で観光などにお出かけのときには、ただロビーから送り出すのではなく、ガイドさんやピックアップに来られた方のところまでしっかりとお連れして、「当ホテルのVIPの奥様ですから」とひとこと伝えておきます。
 こうして、奥様がホテルでハッピーに過ごされれば、ご主人も安心して仕事に向かうことができるだけでなく、奥様のご主人に対する評価も、間違いなく上がります。ご主人にとっては”一石二鳥”というわけです。
 日本のお客様は、仕事で地方から東京に出てこられるとき、奥様を連れて来られることはあまりありません。ご自身が羽を伸ばしたいというお気持ちもあるかもしれませんが、私はご常連のお客様に、奥様とご同伴で来られることを機会あるごとにお勧めしていました。「私たちにお任せください。絶対にお客様の株が上がるように、おもてなししますから」と。】

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 2006年に「キャピトル東急ホテル」は閉館され、加藤さんも42年間のホテルマン生活から引退されているのですが(同じ場所に2010年に後継のホテルができる予定だそうです)、この本を読んでいると、一生に一度くらいは、こういう「最高のおもてなし」を受けてみたいなあ、と憧れずにはいられません。まあ、そういうサービスを受け慣れていない僕にとっては、「いえ、この荷物重いのので、自分で持ちますっ!」とか、あたふたしてしまうだけかもしれませんけど。

 それにしても、この「トップビジネスマン夫妻への対応の極意」というのは、読んで「なるほどなあ」と感心してしまいました。確かに、ホテル側からすると、宿泊先を決めたり、大きなイベントなどで利用してくれるのは、夫の「トップビジネスマン」の方なんですよね。でも、だからこそ加藤さんは、その「奥様」の方を重点的に「おもてなし」するわけです。

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05月23日(水)
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