ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025343hit]
■「新幹線パーサー」を、知っていますか?
『新幹線ガール』(徳渕真利子著・メディアファクトリー)より。
(22歳の若さで、しかも、アルバイトから正社員になった直後にもかかわらずワゴン販売で売り上げナンバーワンとなった著者による、「新幹線パーサー」という仕事についての本の一部です)
【お客様との出会いは、いつも楽しく嬉しいことばかりではありません。ときには困った場面に遭遇することだってあります。
避けられないのが自然災害です。台風や集中豪雨で新幹線の運転がストップした場合、車内で何時間もお客様にお待ちいただくという状況が発生することもあります。
お客様には、仕事や私用などでこちらの想像以上に大切な予定がある方がたくさんいらっしゃいます。その予定が狂ってしまい、その上で何時間も待たされるとなると気持ちもイライラしてきますし、不安になってきます。そのお気持ちをやわらげるのもパーサーの仕事です。
運転がストップしている間も、パーサーは休みません。こんなときこそお客様がワゴンを必要としているからです。何時間も待たされ、お腹は空くし喉も渇きます。もし商品が全部売り切れてしまったら、車内巡回に行きます。何よりも、お話相手になることが重要なんです。
このような場面では9割以上がお問い合わせや苦情のお言葉です。でも一度、あるパーサーは「来てくれてありがとう。安心しました」というお言葉をお客様からいただいたそうです。彼女は後で、「涙が出るほど嬉しかった」と言っていました。
(中略)
(新幹線パーサーの「仕事上の悩み」について)
その他によく出る話題は「足がむくんだ!」「ふくらはぎパンパン!」といった、立ち仕事ならではの悩みです。
出発前のミーティングが終わり「さぁ出発しましょう!」と椅子から立ち上がった瞬間から、今度は数時間後に到着ミーティングが始まるまで、パーサーは一度も座ることがありません。
整列して会社を出て、歩いて東京駅構内に入り、ホームへ出たら新幹線が入線するまでじっと立って待ちます。そして新幹線に乗り込んでからはワゴン販売。「のぞみ」に乗務する場合だと、乗車前後も含めて3時間半近く立ちっぱなしです。
実は私、そんなに立ち仕事が嫌いではないんです。じっと座っている仕事にだけは就きたくなくて、「事務職の人はすごいなぁ」と思っていたくらいです。一つの場所におとなしく座ってとどまっていることができないんですよね。落ち着きがないんでしょうか。だけど人並みに、乗務の後は必ず足が張ります。
新幹線の車両の全長は一両あたり約25メートル。東海道新幹線はすべて16両編成ですから、合計すると一つの列車の長さは約400メートルです。
A車ワゴン(1〜7号車の指定席・自由席)担当の場合、1〜7号車を約3往復します。ワゴン販売だけでも、1回の乗務で1キロ以上歩きます。東京と新大阪を往復した場合、車内で2キロ以上歩くことになります。しかもただ歩くだけでなく、揺れる車内で重いワゴンを押さなければならないので自然と足をふんばります。どうしても足に負担がかかってしまうのです。
今はインストラクターをしている先輩の田野倉理佳さんが、まだパーサーとして乗務していたときのことです。お客様が特に多いお正月に乗務したとき、「私、いったいどれぐらい歩いてるんだろう」と自分でも不思議に思ったそうです。そこで翌日、万歩計をつけて乗務に臨んだのでした。
お正月の三が日が終わったばかりで、Uターンラッシュのピークの日です。このときの田野倉さんの勤務は二往復で、二日にまたがっていました。出勤したその日に東京と新大阪を一往復半。夜は新大阪に宿泊して、翌日に東京までの上り列車に乗務した時点で勤務終了、というシフトです。
最初の出発ミーティングが終わって、東京駅へ出発すると同時に万歩計のスイッチをオン。夜寝るときだけ外し、翌日に東京に戻ってくるまでずっと着けていたそうです。
[5]続きを読む
04月08日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る