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活字中毒R。
by じっぽ
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■「男女の愛憎劇」では、新人賞は絶対に受賞できない!
『月刊公募ガイド・2007年4月号』(公募ガイド社)の若桜木虔(わかさき・けん)の「作家養成塾・第95回」より。
【20歳の看護師と14歳の中学生という年齢枠を思い切って取り外して分析してみると、この二人の恋愛が成就するにしろ(おそらく成就しないわけだが)否にしろ、この物語は端的に身も蓋もない言い方をしてしまえば「男女関係の話」ということになる。世の中には男女二つの性しかないわけで、その枠組みの中で考えようとすると、どうしても可能性は極めて狭められる。どのくらいの男女パターンが考えられるか、ちょっと自問自答してみてほししい。
(1)相思相愛の関係(夫婦関係、恋人関係)
(2)友情と恋情の間を揺れ動くような関係
(3)兄妹とか従兄妹などの関係
(4)先輩&後輩・上司&部下などの男女関係
(5)憎み合う男女関係
(6)一方が他方を追いかけるストーカー的な関係
ほらもう、考えるのが辛くなってくるだろう。無理に捻り出しても、十に届かせるのは至難の業で、これに三角関係とか性同一障害とかの捻りと加えても、まだ十に届かない。
これほどパターンが少ない以上は、どんなに凝った設定を筆者本人が考え出したつもりでも、男女関係に主軸を置く限りは既に書き尽くされており、新鮮味は何一つない――ということを意味するのである。新鮮味に乏しい→「何処かで読んだような話」という既視感→新人賞選考では「オリジナリティなし」で予選落ち、という経過を辿ることにならざるを得ない。
つまり、男女関係を物語の主題に据えてはいけない。据えたら確実に失敗する」ということが言えるのだ。
私の講座に来られる人で「男女の愛憎をテーマに書きたい」という人は引きもきらないくらいに多いのだが、それでは新人賞は絶対に受賞できない、今までに書かれていない男女関係のパターンなどは存在しないのだから、ということを常々から口を酸っぱくして言っている。
確かに男女の愛憎劇は副次的なテーマにはなり得るし、また人間ドラマとしての奥行きを出すためにも必要ではあるから、それを盛り込むこと自体を私は否定しない。だが、絶対にメイン・テーマとはなり得ないものなのだ。
野球に喩えるなら、愛憎劇という要素は一番二番の小回りの利く打者には向いているが、絶対に四番打者は務まらない、ということなのである。
既に作家デビューして、文壇にそれなりの地位を築いた人が書くのであれば男女の愛憎劇をメインに据えた物語を世に問うことは可能で、現実にそういうヒット作も存在するが、それを勘違いして「デビュー以前の新人にも適用して貰える」と安易に思い込んでしまうところに間違いの最大原因がありそうに思える。
あくまでも新人賞に求められるのは「前例のない話」「既視感を与えない話」なのである。だから、新人が賞に応募しようと考えたら、男女の愛憎とは完全に別次元の主題を設定しなければならない。
政治的・経済的・宗教的・哲学的・芸術的・学問的……とにかく何か男女の性とは無関係な方向に主題を求めてみることが要求される。
男女問題などは「あくまでも物語を読者に面白く味わってもらうためのスパイス」ぐらいに心得ていないと、永遠にクレバスの罠に嵌り込んで、そこから抜け出すことができない。】
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これは、「作家志望の人が新人賞を獲ってデビューするための講座」の一部なのですが、確かに「男女関係」というのは人類普遍のテーマである一方で、本当に「書き尽くされている」のだよなあ、と思い知らされます。
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03月18日(日)
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