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活字中毒R。
by じっぽ
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■「『硫黄島からの手紙』は、日本映画だと思っています」
「日経エンタテインメント!2006.12月号」(日経BP社)の記事「正月映画・大勝負の行方」での『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド監督)に関する、渡辺謙さんのインタビュー記事の一部です。

【インタビュアー:『硫黄島からの手紙』はハリウッド映画ですが、セリフは日本語だそうですね。

渡辺謙:栗林忠道の過去を回想する場面で少し英語がありますが、99%は日本語です。脚本は英語で書かれており、翻訳する段階で監督やプロデューサーとディスカッションしました。日本語は「てにをは」が変わるだけで、微妙に意味が異なりますから。また、クリント(・イーストウッド監督)は撮影現場で俳優の演技に合わせてセリフを変えていきます。でも、どんな日本語のセリフが適切なのかを決める担当がいなかった。そこで、基本的に僕が9割近く現場にいてチェックさせてもらいました。

インタビュアー:ほかに謙さんのアイデアが映画に取り入れられた点は?

渡辺謙:脚本は、アメリカに残されている硫黄島の資料を基に書かれています。日本の資料を読んだとき、脚本の栗林像とは違う印象を受けました。そこで、僕の中で印象に残るエピソードを10個くらいノートに記入して渡し、脚本にいくつか反映してもらいました。

インタビュアー:『硫黄島からの手紙』は舞台が日本、セリフが日本語なのに監督、スタッフはアメリカ人です。違和感はありませんでしたか。

渡辺謙:僕はこの作品を最初から日本映画だと思っていました。アメリカ人が見た日本ではなく、日本映画をクリントが撮ってくれたと僕は解釈をしていたので、違和感はありませんでした。
 ただし、なぜ彼が撮りたいと思ったのか。期待もするし、不安もある。彼に直接聞いたところ、『父親たちの星条旗』を撮ったときに日本兵の姿が見えなかったと。日本兵が何を考えて、何を感じてこの戦いに挑んだのか、非常に興味があったと。戦争はどちらかがいいとか悪いとかじゃないんだと、非常に明確なビジョンをお持ちだったので、出演することにしました。

インタビュアー:ハリウッドでは、これまで戦争を題材にした映画が数多く作られてきました。『硫黄島からの手紙』は何が一番違いますか。

渡辺謙:先ほど言いましたように、これは日本映画だと思っています。日本映画では、これまで戦争を真正面からなかなか描けなかったんじゃないかと思います。広島を描いたら被害者になり、そうじゃないものは加害者になる。『硫黄島からの手紙』はもっとリアルに、悲惨さを描いている気がします。あらがえない理不尽さみたいな…。

インタビュアー:栗林中将を演じるにあたり、最も気を付けた点は?

渡辺謙:気を付けたというよりは、すごくよく分かる部分がありました。彼はアメリカとカナダに2度留学してアメリカをよく理解していた。僕自身も日米で仕事をしているので、彼が思い悩んだであろうことを理解しやすかったです。

(中略)

インタビュアー:ハリウッドでは俳優マネジメントも異なります。戸惑いはなかったですか。

渡辺謙:基本的にはどちらも同じですよ。日本でも仕事をコントロールしているのは自分だし、アメリカでもそう。確かに、アメリカでは管理の仕方が分業化しています。それぞれの担当者と契約していますが、契約に縛られているわけじゃないんですよ。会って話をして、お互いが気に入れば、明日から仕事をしよう、うまくいかなかったら、もう君とは終わりだね、と。

インタビュアー:信頼関係のなかで仕事をしているわけですね。

渡辺謙:結構狭い世界ですからね。仁義に反すると、すぐはじかれちゃうんですよ。うわさも早いし。】

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12月27日(水)
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