ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■就職の面接で、「すごくおっぱいが大きいけど、得するの?」と聞かれたら……
「週刊SPA!2006.10/10号」(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・587」より。

【ここんとこ、ワークショップっつうのをやったり、新しい劇団のオーディションをしたりしています。
 ちょくちょく書いている、僕が司会の『クール・ジャパン』というNHKBS2の番組で、面接の違いについて欧米人と盛り上がったことがあります。
 ドイツ人もイギリス人も、そしてアメリカ人も、就職の面接の時は、「かなり攻撃的なことを聞く」んだそうです。
 ドイツ人の説明が一番過激でした。
「離婚歴なんかがあると、『どうして離婚したの?』って突っ込まれますね。会社をいっぱい変わっていると、『なにかまずいことでも起こしたの?』って言われますね」
 ちょっと信じがたかったので、「それは、なんのためなの?」と、素朴に聞けば、「とにかく相手を怒らせるのが目的なんですよ。怒った時に、相手がどうふるまうか、面接官はそれが一番、見たいんです」と、教えてくれました。
 セクハラまがいの質問も飛ぶそうです。
「すごくおっぱいが大きいけど、得するの?」
 なんて質問です。
 で、こんな失礼な質問に対して、どう反応するかを面接官は見るわけです。
「そんな質問してて、侮辱されたって訴訟問題にならないの?」と、びっくりして聞けば、「うん。よくなります」とドイツ人は普通に答えました。
 イギリス人は、「一度、面接で、『どこから来たのか?』って聞かれたから、出身の地名を言ったら、そのまま、面接官はなにも言わないで、じっと僕を見るんだ。3人の面接官が、一言も言わないでじっとだよ。もう、ドキドキしてさ、なにが起こったのかと思ったよ。でも、それが面接官の狙いなんだ。黙ってじっと見られ続けるとどうするか、それがテストなんだよ」
 と説明してくれました。
 これ、長い間、面接を続けてきた僕が言うのもなんですが、目からウロコの画期的方法です。
 普通の質問にニコニコしながら答えて、穏やかに面接を終わらせても、相手のことはほとんど分からないわけです。
 マニュアルが一杯出ていますから、面接の間の何分か何十分かを演じることぐらい日本の若者の常識です。
 で、そうやって入った新入社員が、危機に直面した時、意外な行動を取ります。その時、初めてみんな、「お前は、そういう奴だったのか!?」となるのです。
 だから、面接官が一番知りたいのは、「パニックに陥った時に、あなたは、どうふるまうか?」です。
 仕事のプレッシャーとか、対人関係のきしみとか、睡眠不足とか、仕事にはさまざまなストレスがつきもので、優秀な社員かどうかは、じつは、切れ者だとか仕事の処理がはやい、なんてことじゃなくて、ストレスにどううまく対処できるか、ということが一番なのです。
 これ、部下を持っている人なら、みんな、うなづくと僕は勝手に思っています。
 だって、仕事をバリバリやっても、ストレスに弱くてすぐにダウンするなら、本当の意味で戦力にならないでしょう。少々、仕事の速度が遅く、精度が低くても、タフで粘り強く仕事を続ける部下の方が、はるかに頼もしいのです。
 だから、欧米の面接官が編み出した方法はすごいなと思うのです。】

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 こういう「面接のときの質問」に関しては、欧米のほうが日本よりはるかに「セクハラ発言は慎むように」徹底されているのかと思っていたのですが、実際は「窮地に陥ったときの『パニック耐性』を知るために、あえてそういう質問をぶつけてみることもある」らしいです。
 まあ、面接というのもいろいろな目的があって、僕の出身大学で面接官をしていた先生は、以前、「うちの大学の『面接』っていうのは通過儀礼みたいなもので、明らかに対人コミュニケーションに問題がある人を除外できればいいんだよ」と仰っていましたから、必ずしもすべてのケースで、この「攻撃的な採用面接」が必要というわけではないのかもしれません。あまりに対象の人数が多いところでは、時間もかかるし面接をする側も消耗しますから、この方法は、なかなか難しいでしょうし。


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10月10日(火)
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