ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「パソコンていうのが、よくないんですよ」
「ダ・カーポ」556号(マガジンハウス)の精神科医・林公一さんの連載エッセイ「こころのあおぞら」の第70回「パソコンと携帯の真の効用」より。
【「パソコンていうのが、よくないんですよ」
うつ病からの回復期、職場復帰した直後のある患者さんの言葉である。
「パソコンに向かってると、何か仕事してるように見えるじゃないですか。インターネットで関係ないサイト見てても、ゲームしてても。そうやって何となく時間が過ぎちゃうんです。これじゃ復帰の訓練にならないですねよね」
仕事をしていないのに仕事をしているように見える。そんないいことはないと考えるか、逆にこの人のようにそれをよくないと考えるか、どっちの考え方が健康なのかはなかなか難しい問題である。
しかしそれはともかくとして、仕事をしているように見えるのがパソコンの真の効用であり、オフィスが急速にOA化された真の理由であることは、現代では常識となりつつある。
家庭用ビデオで予約録画ができるのは、平均して一家庭に一人というデータを見れば、会社で誰もがパソコンを駆使して仕事をしているという情景は幻想にすぎないのは明らかだ。しかし、そんなことより仕事をしているように見えるという外見が重要なのだ。本人にとってだけでなく、会社にとっても。
(中略)
そして個人にとってもパソコンには大きな効用がある。始業から終業までの時間を、実はつぶしているだけでも何かをしているように感じて満足できる。まさに「生きる」という行為そのものだともいえる。
その意味では、パソコンにやや遅れて、しかしパソコンより急速に普及した携帯電話も同じ効用を持っている。】
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確かに、パソコンという存在ほど、職場の環境を劇的に変えたものは、今までになかったと思います。そして、パソコンほど「仕事をしているように見える(あるいは、仕事をしているフリができる)道具というのは、なかったのではないでしょうか。
パソコンが普及するまでの「仕事のサボリ方」というのは、営業職であれば、パチンコ屋やマンガ喫茶に行って時間をつぶしたりする人が多かったようです。まあ、それも知り合いの監視下から離れられるからできることで、オフィスでは、せいぜい「同僚とお喋りする」とか「気分転換に本を読む」というくらいが「仕事のサボり方」でした。
でも、パソコンというのは、「仕事にも使えるし、ネットにつなげれば遊びにも使える」という2つの性格を一台の中に併せ持っており、WEBサイトを観るのも「仕事関係のサイト」であれば、遊んでいるとは言い切れないところもあるので、とくにパソコンに詳しくない人にとっては、「パソコンの前で何かカチカチやっている」というだけでも、なんとなく仕事しているように見えたりもするようです。それこそ、「遊び」と「仕事」をワンクリックで切り替えたりもできますし。そういえば、昔は、ずっとパソコンの前にいて、キーボードを叩いているヤツは仕事をしているが、マウスを握ってクリックだけしているヤツは遊んでいる、なんて「鑑別法」が言われたりもしていました。実際は、僕みたいに、キーボードを叩いて「遊んでいる」人間だっているのですけど。それにしても、パソコンほど「仕事と遊びの境界線」を簡単に踏み越えてしまうツールというのは、今まで無かったのは間違いないでしょう。
ところで、林先生は、こんなことも書いておられます。【どんな組織でも、本当に有効に仕事をしている人は、多く見積もっても全体の30%で、50%は何もしていない人、そして残りの20%は足を引っ張る人で、30%の真面目に働いている人たちは、周りを見ているうちに、働くのがバカバカしくなって「何もしない50%」に移籍したり、独立したり、うつ秒になったりする」】と。
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03月19日(土)
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