ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「日本の新聞は首相の読み間違いばかりあげつらって、本当にレベルが低い」
 僕はこの最初のエピソードに出てくる「新聞社の幹部」の言葉に、かなり憤りを感じながら読みました。読者をバカにしやがって、お前らなんかに御指導いただかなくても、自分に必要なニュースくらいわかるよ。だいたい、太平洋戦争が終わったあと、「大新聞」とその関係者のほとんどは、今までの自分たちの「報道」をきちんと検証・謝罪することもなく、「民主主義」を賞賛する側に転向したくせに!
 たぶん、送り手のこんな「読者を舐めた態度」が伝わってくることも、読者の「新聞離れ」がすすんでいる元凶のひとつなのでしょうね。
 もちろん、新聞社の偉い人がみんなこんな人ではないと思いますし、逆にいえば、彼らはそれだけ「自分たちはみんなに読んでもらいたいニュースを『エリートとしての矜持』を持って選んでいるんだ」ということなのかもしれませんけど。

 ただ、この本後半の部分を読んでいると、僕も自信がなくなってきました。
 「自分が読むべきニュースもわからないバカ」よばわりされるのは悔しいけれど、ネットで話題になっている記事には、たしかに、下世話なゴシップ記事や「弱者叩き」が多いような気がします。
 「麻生総理の漢字読み間違い問題」について、当時、ネットではかなり話題になっていたのですが、僕もこのニュースに対しては、「マスコミもそんなくだらない話題ばっかり大々的に報道しないでも、もっと日本人の、あるいは世界中の人類の未来にとって有益な、『報道すべきこと』があるだろうに……と感じていたんですよね。

 でも、「『漢字間違い問題』を最初に報道したのはマスコミだったかもしれないけれど、その「小さな記事」をおもしろおかしく採り上げ、人気記事にしていったのは、マスコミの力だけではありません。
 「火のないところに、煙は立たぬ」と言いますが、火をつけたのがマスコミ側だとしても、その火を燃え上がらせるための燃料を投下していったのは、「新聞なんてつまらない、くだらない」と言いながら、ずっとネットでネタを探している人たちです。
 誰も「反応」しなければ、あの「漢字間違い問題」は、好事家たちが新聞の片隅で(あるいは、新聞社のサイトで偶然に)見つけて、ニヤニヤしてそれでおしまい、だったのかもしれません。

 新聞やテレビなどのマスメディアはもちろん、ネットのニュースサイトでも「編集権」というのはものすごく重要なのです。
 同じ「ニュース」であっても、それが新聞の1面に大見出しで採り上げられるのと、文化欄の隅っこにベタ記事として掲載されるのとでは、それを読む人の数に圧倒的な差が出ます。
 ネット上のニュースサイトで紹介される記事でも、並べられる順番とか(基本的に最初のほうに紹介されたほうが来る人は多い)、紹介者がつけたコメントによって、「集客効果」は全然違ってきます。
 メディアにとっては、「何を採り上げるか」というのと同じくらい、あるいはそれ以上に、「それをどういう順番や大きさで採り上げるか」というのが大事なのです。

 ところが、ネットではそういう「編集にこめられた、伝える側の意図」が「記事への直接のリンク」によって、不明瞭になってしまいます。
 メディアの立場とすれば、「こちらはそんな記事ばかり書いているわけじゃないのに……」と言いたくもなるでしょう。

 もちろん、ネットで「メディアの編集権の影響が薄れたこと」によって、「新聞では大きく採り上げられなかった良質な記事」が話題になることも多いし、ひとつひとつの記事に対する「世間の本音」も透けてみえるようになってきたという、良い面もあるのですけど(「ネットでの反応は、あまりに極端になりがちで、本当に「世間の本音」かどうか疑問なところもありますが)。

 もし「読者が本当に求めている記事」を並べていったら、最終的には、ネットで人気の『痛いニュース』になってしまうのかもしれません。
 それが「報道の正しい姿」なのかどうか?
 「日本の報道のレベルが低い」のは、報道する側だけの責任なのか?

 「インターネット時代」だから、メディアが検証されるようになったのは事実です。

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08月23日(日)
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