ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■ブラジル人を変えた『聖闘士星矢』
大きくなったブームは、負の現実も生んでいる。在日ブラジル人が殺人やひき逃げなどの事件を起こして逃亡、母国で平然と暮らしていたことが相次いで発覚した。その後、日本の要請で政府が代理処罰を行ったことはブラジルのマスコミでも大きく取り上げられた。しかし、実際のところここは殺人、児童買春、麻薬犯罪などの犯罪が目立ち、軍警と麻薬組織の「内戦」に近いような銃撃戦が行われる治安状態である。受け止め方に落差のあることは実感として否めない。
そのため、こういった負の現実も、ブラジルのJ−POPブームには大きな影響を与えていない。世界最大と言われる日系エスニックタウン「サンパウロ東洋街」に、マンガも含めた日本書籍専門店や、最新の日本のドラマやアニメのCD、DVDを販売、レンタルするお店が集中している。エリアの中心にあるリベルダーデ広場には、毎週末コスプレ、ゴスロリまがいの服装をしたブラジル人の若者たちがたむろして、おしゃべりし、情報交換している。また、何よりも、こういったお店を中心に、日系・非日系を含めた多くのJ−POPファンが集まり、衛星のように無数の愛好グループが存在している点が面白い。】
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ブラジルという国には日本人の移民も多く、ずっと昔から「親日国」だと僕は思いこんでいたのですが、実際はそうではなかったんですね。
歴史をたどってみると、移民たちや日系人たちにとって長く厳しい時代が続いた末にようやく、日本人・日系人の勤勉さが少しずつ評価されて、現在の日本とブラジルの関係ができあがった、ということのようです。
これを読むと、現在のブラジルにおいては、「日本」という国の存在感は、僕が予想していたよりもはるかに大きいものであるということがわかります。サッカー選手にとっては、「ヨーロッパのビッグクラブに入る」ことが大目標で、日本のJリーグは「ヨーロッパから声がかからなかった二流の選手の移籍先」だと思っていたけれど、ブラジルの人たちは、そんなふうに考えてはいないみたいですし(レアル・マドリードやミランに移籍できるのなら、そっちに行くとしても)。
「ブラジルの若者たちが日本に好感を持つようになった決め手」が、アニメ『聖闘士星矢』だったというのは、リアルタイムでこの漫画を読み、アニメも観ていた僕にとって、ちょっと驚かされるエピソードでした。
いや、確かにキャラクターは「日本人」ではあるけれど、ストーリーやキャラクターにはギリシア神話のネタが使われていますし、「聖衣」って、「テクノロジー」なのだろうか……
『スパイダーマン』を観ても、多くの日本人は、「ピーター・パーカー=正義の味方」だと感じることはあっても、「アメリカ人=正義の味方」だと考えるとは思えないのですが、ブラジル人っていうのはけっこう「素直」というか「短絡的」ではありますよね。
先人たちがコツコツと「日本人のイメージアップ」を積み重ねてきたからこそ、『聖闘士星矢』が受け入れられたのでしょうが、それにしても、「ジャパニメーションの影響力」というのはこんなにすごいのか、とあらためて思い知らされました。もちろん、大部分の日本人は「ペガサス流星拳」を使えないわけですし、アニメのイメージを重ねられても辛いところはありそうですけど。
それにしても、マンガとかアニメというのは、こんなにも他の国の人たちに大きな影響を与えるものなんですね。政府高官のどんな「外交努力」よりも「子供向けの1本のアニメーション」のほうが、長い目でみれば国と国との関係改善に有効な場合もあるのだなあ。
10月19日(日)
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