ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『大戸屋』で「極貧の人のためのボトルキープ」が可能だった時代
 踏み絵のようなボトルで、自分でも気づかなかった気持ちがあからさまになってしまった。
 私はそれ以降、先輩と一緒に大戸屋へ行くことは二度となかったのである。】

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 この『うまうまノート』が単行本になったのが2003年11月だそうですから、今からだいたい5年くらい前に室井さんが書かれた文章です。
 僕は九州在住なので、実際に『大戸屋』の中に入ったことはないのですけど、先日東京に行った際、お昼時に女性がたくさん並んでいる店が、この『大戸屋』だったことを憶えています。東京在住の女性のブログには、けっこうこの『大戸屋』が出てくるので、「ここが『大戸屋』か」と。

 僕にとっては、「都会のキャリアウーマン御用達」の「オシャレ定食屋」というイメージがあるこの『大戸屋』なのですが、室井さんがよく利用していた時代には、「男性・学生向けのワイルドな定食屋」だったようです。いまとなっては、「『吉野家』に女性ひとりで入るのが恥ずかしい」というのも、ちょっと信じがたい話ではあるのですが、田舎では、いまでも女性がひとりで外食していると、周囲のおばちゃんたちの好奇の目にさらされることもあるそうです(と、僕の妻が言ってました)。

 この『大戸屋』の「ボトルキープ」の話を読んでいると、なんだか、「学生時代の大学の周りの定食屋」のことを思い出してしまいます。さすがに僕の大学の周りには『ごはんですよ』をキープできる定食屋はありませんでしたが、味はそこそこながら、「とにかく安くて、お腹いっぱいになることができる」という定食屋には、かなりお世話になったものです。
 今をときめく「女性に人気の『大戸屋』」にもそんな時代があったのだなあ、と思うと、なんだか急に親しみがわいてくるなあ。「ご飯セット」なんて、そんなに儲かりそうもないメニューがあったなんて。
 『大戸屋』は、何がきっかけで、今の路線に転換することになったのだろうか……

 ところで、室井さんが先輩の「マイボトル」に箸を入れられなかった気持ち、僕はなんとなくわかります。
 ただ、今から考えると、それは室井さんがその先輩のことを「好きじゃなかった」というより、その人の「衛生観念」の問題じゃないか、という気もするんですけどね。いくら相手のことが好きでも、食器や食べ物を「共有」できないという人はけっこういますし、『ごはんですよ』だと、たしかに、いろんなものが混ざっていてもわからないだろうし……

08月25日(月)
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