ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■某大手コンビニエンスストア・チェーン店の「オーナー店長」の哀しい現実
 担当者は言っていた。「うちの会社では、24歳の若い友達同士ふたりが独立開業したこともあります。ただし、ふたりとも実家住まいで、ふたりの月収が40万円でもやりくりができたからです。軌道に乗るまでの1年くらいは、死ぬ気で頑張るしかないでしょう。その後、地域に店が定着して、お得意さんが増え、二号店三号店と、複数店舗のオーナーになれば、うまみがでてくるはずですよ。
 果たして、そんなに待てるものなのだろうか。】

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 24時間営業のコンビニを僕がはじめて見たのは、大学に入り、一人暮らしをするようになってからでした。
 高校時代は寮に入っていたこともあり、「真夜中にも空いていて、生活必需品がひととおり売られている店」の存在は、非常にありがたかったのをよく覚えています。
 同級生や先輩との飲み会の途中で、よく買出しにも行ったし、試験勉強に煮詰まったとき「気分転換」と称して、コンビニに向かったりもしていました。
 僕の大学の近くにはじめてできたコンビニはかなり商売がうまくいっていたらしく、その店のオーナーのものらしき車が、次々と高級車に買い換えられていき、最初は制服姿でレジに立っていたオーナーの姿を店内で見ることがなくなっていった記憶があります。
 そんな変化を見て、コンビニって儲かるんだなあ、と当時、みんなでささやきあっていたものです。
 あの頃はそんなに競争も激しくなかったし、僕、あるいは僕のような立場の学生たちでにぎわっていた店内からすると、定価販売ということもあり、実際にかなり儲かっていたのだろうな、と思います。

 しかし、この話を読んでみると、いまの時代、コンビニ経営もラクじゃないなあ、と嘆息せずにはいられません。ちなみに「ロイヤリティ50%」というのは、このチェーン店本部がかなり暴利を貪っているような印象を受けるのですが、この章には、「他のコンビニチェーンもロイヤリティは同じくらい」であることが記されています。

 他人に使われる仕事にうんざりして、「何か自分で商売をはじめてみたい」という人はけっこう多いでしょうし、大手コンビニチェーンの一員になれば、まず、「成功は約束されたもの」「バイトを働かせて、自分はときどき店の様子を見に行くくらいで悠々自適の生活」などという幻想を抱いている人もいるのではないかと思うのですが、そんなに甘いものじゃないというのが現実のようです。
 350万円あまりで「起業」できるというのは魅力的に思えますが、「月の売り上げが1500万円の店舗の場合、店長の取り分は、二名合計で52万円くらい」という話を、どう考えればいいのでしょうか?
 これが「最低保証」であれば、「いまの御時世なら、悪くない」のかもしれませんが、1500万円というのは、あくまでも「一店舗あたりの売り上げの平均」です。つまり、「二人で52万円」というのは、あくまでも「店長(+マネージャー)の二人を合計した月収の平均」ということです。
 コンビニチェーンは、夫婦、あるいは家族での「起業」をすすめるそうなのですが、確かに、「店長」という仕事のキツさ(急に休んだり辞めたりするバイトの穴埋めや仕入れなど、本当に大変みたいなんですよ、店長って。少しでも自分の取り分を増やすためには、自分で働くしかないみたいだし)を考えると、「夫婦で52万円」ならなんとか耐えられても、「どちらか一人で26万円」であれば、ちょっと「割にあわない」ですよね。年齢や役職にともなって、「昇給」するわけでもないし、退職金が出るわけでもない仕事としては。
 それに、「稼ぎの半分はロイヤリティ」という状況では、「オーナー店長」というのは名ばかりで、実質は、「チェーン店本部に年貢を搾り取られる小作人」みたいなものでしょう。

 僕が大学時代に見たような「ものすごくうまくいっている例」も中にはあるのだとは思うのですが、いまやコンビニは過当競争の時代ですし、コンビニ「経営」をはじめた人のなかには、「これならサラリーマンのほうがよっぽどマシだった……」と嘆いている人が少なくないはずです。
「地域に店が定着して、お得意さんが増え、二号店三号店と、複数店舗のオーナーになれば、うまみがでてくるはずですよ」

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07月10日(木)
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