ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「”この顔はウソじゃん”っていうのが、イヤなんです」
そして、この「ペンと筆の比較」も含めて、井上さんが今、マンガというものをどういうふうに考え、どんな作品を描こうとしているのかというのも、僕には非常に興味深いものでした。
たしかに、『バガボンド』は、絵の迫力もあり、「なんとなく凄いマンガだ」というイメージがある一方で、「何も描かれていない」というか、「ちょっとわかりにくい」あるいは、「読者への歩み寄りに欠ける」マンガであるような印象もあるんですよね。僕は好きなんですけど。
僕がいちばん驚いたのは、【「やっぱり、ジャストの顔を描きたいんです。微妙な表情でも、いろんな思いが混ざっているような表情でも、きっと描けるはずだと思っているから」】という井上さんの言葉でした。
絵画や写真であれば、たぶん、「ジャストの顔」をアーティストは求めると思うんですよ。
でも、マンガの世界、それも定期連載される商業マンガの世界で、「ひとつの表情」にそこまでこだわっているなんて……そういう姿勢で連載を続けている井上さんは、本当に凄いとしか言いようがありません。「きっと描けるはずだと思っている」としても、それをずっと続けていくというのは、また別の次元の話でしょう。
井上さんは、マンガの力、そして「絵」の力を、強く信じている人なのだなあ、と感心するばかりです。
この話を読んでいると、正直、井上さんは、もう既成の「マンガ」の範疇で表現していくことに限界を感じているのかな、という気もしてきますね。井上さんの「行き着く果て」がどこなのかは、僕には見当もつきませんが……
06月19日(木)
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