ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『魁!!男塾』の「壮絶なデモンストレーション」
『魁!!男塾』が、「週刊少年ジャンプ」で連載されていたのは、1985年から1991年で、部数的にもジャンプの最盛期。
あの頃を思い出してみると、宮下さんが仰っておられるように、『男塾』は確かに人気漫画のひとつではありましたが、『北斗の拳』『キン肉マン』『Dr.スランプ』などの「大エース級」に比べると、若干人気が落ちる「第2グループ」に含まれていたという印象です。本誌が週に600万部、コミックスが初版100万部って、あの頃はそれが当たり前のような気がしていたけれど、今から考えると、あれはまさに「黄金時代」だったんですね……
当時僕たちは『ジャンプ』の漫画がみんな同じような「次から次へと強い敵が出てきて、前に戦った相手が仲間になって……」という「バトル漫画」ばかりになってしまっていることにけっこう食傷していた記憶があるのですが、ここまであっけらかんと「その方が人気出るじゃん」「『北斗の拳』も『キン肉マン』にしても、みんなバトルだったから」と言い放たれてしまうと、逆に清々しいくらいです。
少年漫画全体としては、こういう「同じような展開のバトルもの」が飽和してしまったことはマイナスだったのではないかと思われるのですけど。 実際、『男塾』って、「小田島平八である!」意外には、あんまり記憶に残ってないものなあ。『キン肉マン』とか『北斗の拳』などは、ストーリーの概略はまだ覚えているんですけどねえ。
このインタビューの内容のすべてが「事実」かどうかはさておき、現在の多くの漫画家が「作家性」を前面に出し、「他人と違う作品を描くこと」を目指しているのと比べると、同じ「漫画家」でも、いろんな人がいて、いろんな考え方があるものだなあ、と考えさせられます。
まあ、読者としては、「頑張って『芸術』になろうとしている漫画」「価値観や道徳を押し付けようとしてい漫画」よりも、『男塾』のいいかげんさのほうが楽しかったりもするのです。連載の後半のほうなんか、主要キャラが死んでも、「どうせ死んでないんだろ…今度はどうやって生き返るのかな?」という感じでしたし、そういうところにツッコミを入れられるのも、『男塾』の魅力のひとつだったのです。
これを読んでいると、宮下さん自身も、けっこうその場の勢いで描かれていたようですし、「読者にウケるためなら、なんでもアリ」だと思っておられたみたいですよね。
それにしても、現在宮下さんが雑誌で連載中の作品は、『暁!!男塾』『天下無双 江田島平八伝』と、いずれも『男塾』のスピンオフ作品なのですから、『男塾』には根強い人気があるみたいです。
しかし、「あれは、デモンストレーション(笑)」っていうのは、まさに「『男塾』だし」としか言いようはないよなあ……
01月28日(月)
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