ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『突撃!隣の晩ごはん』の「突撃のマナー」
「突撃!隣の晩ごはん」は、1985年から2001年まで日本テレビ系列のワイドショー『ルックルックこんにちは』内のコーナーとして放映され、2003年に『ザ!情報ツウ』という番組で復活。そして2006年からは、『NNN NEWS リアルタイム』内で「突撃リアル!隣の晩ご飯」として再復活しているそうです。僕が観たことがあるのは、最初の『ルックルックこんにちは』時代のものだけなのですが、「なんか下世話であつかましい企画だよなあ」という印象で、あんまり好感は抱いていなかったような記憶があります。
この「突撃!隣の晩ご飯」、Wikipediaでは、
【「ルックルック」で放送されていたヨネスケの「突撃!隣の晩ごはん」は、事前の連絡もなく見ず知らずの家に突然訪問する「元祖アポ無しロケ」であった。そのため多くのハプニングがあり、暴力団組長の自宅とは知らずに訪問してしまったこともあったと言う(しかしその組長は話の分かる人で、コーナーの趣旨を理解してくれていたので、トラブルには至らなかった)】
というようなエピソードも紹介されており、少なくとも以前のものは「仕込み」ではなかったみたいです。そう簡単に家に上げてくれて、夕食のメニューを世間に公開してくれる人なんていないだろ……と僕などは考えてしまうのですが、この番組が全盛期であった20年前から10年前くらいの日本では、テレビに映れるのなら、そういう「プライバシー」を公開することに抵抗がないという人が、けっこう多かったのかもしれません。
ここでヨネスケさんが語っておられる「突撃!隣の晩ご飯」の裏側というのは、僕にとってとても興味深いものでした。あんな「あつかましい」企画であるにもかかわらず(あるいは、それゆえに)、ヨネスケさんをはじめとするスタッフの気配りは、並大抵のものではなかったようです。
「靴を揃える」とか「終わったら全員できちんと挨拶する」なんていうのは、ある意味「社会人として当然のこと」なのではないかという気もするのですが、テレビにたくさん出演されている阿川佐和子さんのリアクションからすると、そういうことに対して無頓着な「テレビに出してやっているんだから」という態度のスタッフも、けっして少なくはないのでしょう。
それにしても、「家族の人数を頭に入れておいて、串カツに手をつけるかどうか決める」とか、「カレーのルウはご飯にはかけない」なんていう「ルール」は、視聴者にとってはむしろ「不自然なこと」でしかないのですから、この番組のスタッフが「出演してくれる人たち」にどれだけ気を遣っていたのか、ということが伝わってくる話です。
それこそ、テレビバラエティとしては、「食い散らかす」くらいのほうが、面白く感じる人も多そうなのですが、そういう「ルール」があればこそ、これだけ長い間続けることができたのでしょうね。
ところで、「入れてくれた家に障害を持つ子供がいた場合の話」に関しては、僕も考えさせられました。
正直、僕はそういう場面を目にすると「感動をあおろうとしているのでは?」なんて疑問に感じていましたし、「その場面をカットしない」ことに全国の視聴者から「テレビで見世物にするのか!」なんて苦情が来ていたりもしたのではないでしょうか?
いや、僕はこのヨネスケさんの「ルール」に対しては、諸手を上げて「賛成!」とは言い難いものがあるのですが(それは僕が、「テレビに映る」ということに憧れなくなった世代だからなのかもしれませんけど)、こういう背景や「ポリシー」があってのことだったと聞くと、本人(あるいは家族)が望んでいるものを「かわいそうだから映すな!」とか言うのが「正論」なのかどうか、すごく考えさせられます。
しかし、この番組がこんなに人気があって長く続いているということは、やっぱりみんな、なるべく表には出さないようにしていても、「他人のことが気になる」のですよね……
12月25日(火)
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