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活字中毒R。
by じっぽ
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■セブン−イレブンの「コンビニでおでんを売る秘訣」
 セブン−イレブンには、1999年に発足した「おでん部会」という組織があり、各店舗での味や具材の統一や新商品の開発のため、全国のベンダーや専門メーカーが毎週ミーティングをしているのだそうです。

 僕はコンビニをよく利用していますので、もちろん、20年前に比べたらコンビニの食品のレベルが上がってきたと思いますし、最近はコンビニの商品のほうが、街の「専門店」より美味しい場合も少なくない、と実感しています。それでも内心「でも、コンビニの食品なんて……」という気持ちはあるのです。
 大量生産され、保存料たくさん使われた「いいかげんなもの」ではないか、と。
 しかしながら、この本を読んで、セブン−イレブンの「凄味」に正直圧倒されてしまいました。

 もちろん、この本を書かれている吉岡さんは、セブン−イレブンに許可を得て取材されているわけですから、書ける内容に制限があるのではないかとは思うのです。でも、少なくともこの本に提示されている事例においては、セブン−イレブンは、「大手だから、コンビニだから、質の低い食材をそれなりに調理して大量生産する」というような態度で商売をしているわけではないみたいです。
 むしろ、「大手であり、たくさん売れるのだから」ということでメーカーを囲い込んで巨大なプレッシャーをかけ、より質の高い商品を生み出し、競合他社と差別化するための努力をしているというのが、「追いかけられる巨大企業」の実態。「企業努力」と言えばそれまでだし、消費者にとってはメリットが大きいのは事実なのですが、実際にその開発や製造にたずさわる傘下のメーカーにとっては、「コンビニで売ってもらえるかどうか」は死活問題なだけに、かなりキツイ思いをしているのだろうなあ、と思われます。

 僕もコンビニでおでんを時々買うのですが、やっぱり、おでんを買おうと思うときには、セブン−イレブンを選ぶことが多いです。正直、そんなにすごく美味しいという印象もないし、僕にとっては、ちょっと味が「お上品」で、子供の頃家で食べていた「煮えすぎたおでん」が懐かしくなることも多いのですが、少なくともコンビニチェーンのなかでは、セブン−イレブンのものがいちばん好きです。
 しかし、あのおでんって、「余りモノの商品を加工してボロ儲け」って感じなのかと思い込んでいたのですが、実は、ここまで細心の注意と創意工夫のもとに「開発」されていたものだったのですね。
 ダシが命、であるのはもちろんのことなのでしょうけど、普段は「違い」を意識することが少ない「具材」のほうでも、あの大根は土から作っているし、たまごは飼料にハーブを混ぜているなんて!
 「勝ち組」である巨大企業が、ここまで徹底して前に進んでいるのをみると、後発組がかわいそうになってしまうくらいです。

 それにしても、「大根とたまごをめちゃくちゃおいしくする」っていうのは、おでんを買うときに、「じゃあ、大根とたまごと……」からはじめる僕にとっては、まさに「読まれている」としか言いようがありません。
 いや、そんなに「すごくおいしい!」って思ったことはないつもりなんだけど、レジの前に行くとついつい買っちゃうので、やっぱり「僕にはおいしく感じられている」のだよなあ……

10月23日(火)
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