ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10024533hit]
■大ロングセラーになった「絶対に売れそうもない歴史小説」
このインタビューの解説によると、【『徳川家康』が経営者のバイブルなどと言われて急激に売り上げを伸ばしたのは、出版から10年近くたった1962年ごろである。結局「各版合わせると4000万部という超ベストセラー」(『クロニック講談社の80年』1990)となった】そうで、実際は、こうして原田さんたちが頑張って宣伝しても、10年近くは「そこそこのヒット作」に過ぎなかったのです。そういえば、『徳川家康』は、僕が子供のころにNHKの大河ドラマの原作としてブームになったりもしていたんですよね。火がつくのに時間はかかったけれど、ものすごく息の長いロングセラーとなった作品なのです。
しかし、この原田さんのインタビューを読んでいると、「お説教ばっかり書いてしまう先生」が書いた「人気がないどころか嫌われている歴史上の人物を主人公にした」「ものすごく長い」小説を出版するというのは、ものすごい「冒険」だっただろうなあ、という気がします。いくら「実際に読んでみて面白かった」としても、ここまで売れるとは、出版社にとっても、作者の山岡荘八さんにとっても「嬉しい誤算」だったに違いありません。
いや、本が売れただけではなくて、この小説は、「徳川家康という歴史上の人物の再評価」にもつながりました。
「ずるがしこい狸親父」から、「乱世に平和をもたらした忍耐の人」へ。
さすがに、NHKの大河ドラマの家康には、僕も子供心に「こんな良い人が天下を獲れるわけないだろ……」とつっこんでしまいましたけど。
講談社の文庫版で26巻にもなる、あの長い長い小説を「読破」した人がどのくらいいたかは、ちょっと疑問でもあるんですけどね。うちにも「1巻」だけが3冊くらいあるんだよなあ、そういえば……
09月01日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る