ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「三島由紀夫さんほど、『老い』を怖れ憎んだ人を知りません」
なんだか、このやりとりって、「男の視点」と「女の視点」の違いというのを感じてしまうのです。ボディービルで肉体美を鍛え上げた三島さんに対して「あんな体、機能的には無意味」であり、「『老い』で肉体を失うのを怖れるあまり『衰弱』してしまったのだ」と断定する石原さん。そしてその一方で、三島さんの「男の強がり」を見透かしたかのように、「そういう人間的に危なっかしいところもまた、三島由紀夫の『かわいいところ』なんですよ」とばかりに語っている寂聴さん。
ほんと、男からすれば、「女って、どうしてあんなどうしようもない男が好きなんだ?」と言いたくなることって少なくないのですが、女性は、その「どうしようもないところが好き」だったりするんですよね。
客観的にみれば、三島由紀夫さんの人生、とくにその終盤は、「狂っている」ようにすら思えるのですが、もし三島由紀夫という作家の作品外での行動にあんなにインパクトがなければ、三島さんはこれほど「記憶に残る作家」にはなれなかったような気がするのです。そういう「作品外でのインパクト」は、石原慎太郎さんにしても同様で、石原さんが三島さんに厳しいのは「自分と似ているところがあるから」なのかもしれません。あるいは、「長生きしてしまっていること」で、石原さんは三島さんにある種の「劣等感」を感じているのかも。
まあ、僕は三島由紀夫さんは、あまり長生きしなくてよかったのかもしれないな、とこれを読んでいて思いました。
「魅死魔幽鬼翁」なんて暴走族の落書きみたいなペンネームでの作品が歴史に遺っていたら、やっぱりちょっと恥ずかしそうですしね。
08月19日(日)
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