ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025127hit]
■歴史を変えた「事務屋」たち
ということです。現実社会で大軍を動かすためには、ひとりの革命家の気概や理想よりも、食料や靴の供給のほうが重要な場合が多いのです。破竹の勢いで進撃していたにもかかわらず、補給の失敗で敗れた、あるいは退却せざるをえなかった「大軍」が、歴史上多く遺されています。そもそも、首脳部はともかく、一般の兵士たちは「食べさせてくれるほうに味方する」場合も少なくなかったわけで。
こうして歴史の流れをみてみると、ナポレオンが砲兵出身であったことは、「歴史の必然」だったのだな、ということがよくわかります。ナポレオンがどんなに優秀な士官でも、騎兵の一員であれば、貴族たちに出世を阻まれてしまっていたかもしれません。そして、参考リンクに挙げたのですが、ナポレオン自身もベルティエという参謀を非常に重用し、賞賛していました。他の勇将たちは、戦場で目立った働きをするわけではないベルティエを「事務屋」として蔑んでいたのですが、ナポレオンは「不可欠の協力者、理想の参謀長だ」と評価し、自らの「片腕」とも公言していました。ナポレオンは、もしかしたら下士官時代の自分の姿を、この参謀長に見ていたのかもしれません。
豊臣秀吉が石田三成などの文官を優遇したために古参の武将たちが反感を抱き……というのが「関ヶ原の戦い」のひとつの要因だと言われていますが、逆に言えば、石田三成のような「実務官僚」たちを優遇するようなセンスがあったからこそ、豊臣秀吉は天下人として君臨できたとも言えるでしょう。
この本で採り上げられている猪山成之は、天下を動かそうという野心など全くなく、「御算用家」の跡継ぎとして家を守ろうと勉強していただけなんですよね。でも、その「算術」を極めることによって、結果的に歴史を動かす重要な役割を演じてしまったというのは、なんだかすごく面白い話だと僕には思えるのです。
06月01日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る