ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「でも、僕は、『天才赤塚不二夫の手伝いが出来ただけでも幸せだった』、と今は思ってる」
 これは本当に「単純かつ最も確実な答え」だと思うのですが、その一方で、ずっとマンガ家としてやってきた人間が、そんなに簡単に「自分の絵の古さ」を認め、他の人の手を借りることにした、というのは、正直ちょっと驚きです。赤塚さんには「プライド」が無かったのだろうか、と。
 そしてさらに驚いたことは、一世を風靡した『おそ松くん』の主要キャラクターの多くは、赤塚さん自身の絵ではなく、高井研一郎さんの絵によるものだった、ということでした。マンガ家というのは「絵が命」なはずですから、『おそ松くん』は、「原作・赤塚不二夫、作画・高井研一郎」とクレジットされていてもおかしくない作品だったわけです。もちろん、高井さんが全く何も無いところから、自分ひとりの力で『おそ松くん』を描けたのか、と問われると、それも難しかったような気もしますけど。

 これらの話から考えると、赤塚不二夫というマンガ家の最大の「才能」というのは、「他の優秀な人材を自分のために働かせる人間的魅力」だったのかもしれません。高井さんは、「赤塚不二夫」の作品、もしかしたら、自分がこれからマンガを描いていく際に「赤塚不二夫の物真似」と言われる原因になるかもしれない作品のために、自分の絵の全部を捧げたのですから、それだけのことをしてしまうような魅力が、赤塚不二夫にはあったということなのでしょう。少なくとも「他人の意見にはちゃんと耳を傾ける人」「他人をその気にさせるのがうまい人」ではあったようです。

 『おそ松くん』は赤塚不二夫の作品、だと認識されています。そのことについては、高井さんにだって、ちょっと複雑な気持ちもあるでしょう。
 でも、こういう「陰の作者によって支えられていた人気マンガ」っていうのは、けっこうたくさんあるのでしょうね。
 少なくとも、赤塚さんに出会ったことで、高井さんが描いたキャラクターたちは「歴史に残った」のですから、これもまた「マンガ家冥利に尽きる」ことなのかもしれません。

05月25日(金)
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