ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■金沢21世紀美術館の「美術館革命」
蓑:それはもちろん。税金で運営されていて、年間約7億円の運営費がかかってるわけですから。それでも現状のように、入場収益が年間2億円くらいもあれば、市民の方々も安心するでしょ? おまけに、この美術館を訪れる人が運賃を払って金沢へ来て、泊まって、食べて、飲んでと、お金を落としてくれるわけです。外部の機関の試算では、本館初年度の美術館運営。来館者支出に伴う経済効果は年間111億円と出ましたからね、これは大きいですよ。
インタビュアー:それは市民に愛される大きな理由のひとつになりますね。
蓑:学校帰りや会社帰りに立ち寄って、<タレルの部屋>でぼんやり空を眺めてくつろいだり、生活の中で自然に親しんでくれていますよ。これまで美術館というと、税金の無駄遣いなんて思われがちでしたから、そういった偏見を打破したかったんです。】
参考リンク:
金沢21世紀美術館(公式サイト)
金沢21世紀美術館(by 癒しの美術館探索)(「タレルの部屋」や「スイミング・プール」の画像など)
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僕はこの「金沢21世紀美術館」の存在を知らなかったのですけど、この記事を読んで、ぜひ一度この美術館を訪れてみたいなあ、と思いました。そして、こんな美術館があるなんて、金沢の人たちが羨ましいなあ、とも。北海道・旭川の「旭山動物園」にしてもそうなのですが、地方都市が既存の「動物園」や「美術館」の固定観念を打破していっているというのも、なんだか興味深い話ではありますよね。
人口45万人の金沢市にあるにもかかわらず、開館わずか2年半で来場者が330万人を突破したという、この「金沢21世紀美術館」なのですが、その大成功の原動力になったのが、この蓑豊館長だったそうです。美術館の「価値」「集客力」の違いというのは、「立地」と「展示物の質と量」が全てなのではないかと僕は考えていたのですが、この蓑さんの話を読んでいると、「展示物の見せ方」や「『普通の市民』に親しみを持ってもらうための有料・無料ゾーンの設定」、さらには、「威圧感を与えないための立地や建物の造りかた」まで、工夫できるところは本当にたくさんあるのだな、と驚いてしまいました。確かに、日本の多くの公営の美術館は(いや、私営のものも大部分は)「展示物を観せてやってるんだぞ」という感じで、来館者は「監視されている」ようにすら感じますよね。まあ、美術館好きの僕としては、「子どもが騒いだり、学校帰りのカップルがイチャイチャしている美術館」というのも、それはそれで興醒めしそうではあるのですけど。
ごく一部の「世界的に有名な収蔵物を誇る美術館」であれば、こんな工夫をしなくても良いのでしょうが、実際は、地方の美術館というのは「誰も観に来ないような常設展示物」+「ときどき開催される有名画家の特別展」で運営されているところが大部分。そして、「特別展」での入場者数で、なんとか帳尻を合わせているのです。でも、この蓑さんの話には、「地方の美術館は、大都会の有名美術館の劣化コピーである必要はないんだ」という強いメッセージを感じますし、地方の、有名画家の作品がひしめいているわけでもない美術館にこれだけの人が訪れるのには、この美術館の「雰囲気」がとても魅力的だからなのでしょう。金沢という場所から考えても、リピーターがかなりいなければ、こんなにたくさんの入場者数は得られなかったはずですし。
ただ、この「金沢21世紀美術館」も、こうして「時代の寵児」になってさらに賑わってしまうと、きっと今までみたいには、地元の人たちが館内でゆっくりくつろげなくなってしまうんでしょうね。それはそれで、ちょっと残念な話ではあります。
04月03日(火)
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