ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■周防正行監督が語る「刑事裁判の理不尽な実態」
周防:そもそも有罪確定だから、そういう判決理由が書けてしまう。けっこうメチャクチャな判決文があります。有罪の理由が何なのかとよく読んでみると、結局は「被告人が犯人である可能性は否定できない」ですから。可能性が否定できなくて犯人になるんだったら、誰でも犯人ですよね。おまけに無罪を主張したら、「反省のかけらも見られない」でしょう。ひっどいよなと思いますよ。
インタビュアー:理不尽な話ですね。
周防:でもこの理不尽が、刑事裁判の実態なんです。これこそが刑事裁判なのだという現実を、皆さんに知ってほしい。そして興味を持つ人が増えて、傍聴席が常にいっぱいになるようになれば、少しは変わってくるんじゃないかと思うんですけどね。】
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確かに、「被告人が犯人である可能性は否定できない」という理由で「有罪」にされてしまうというのはあんまりです。
周防監督の『Shall we ダンス?』から11年ぶりの新作、『それでもボクはやってない』は、ここで監督自身が語られているような日本の裁判制度を題材にした問題作として大きな反響を呼んでいます。僕はまだ映画のほうは未見なのですが、このインタビューを読んでいるだけでも、「もし自分が痴漢冤罪で刑事裁判の被告になったら……」と不安になってしまいました。起訴されて裁判になった時点で「有罪率99.9%」では、冤罪でも認めてしまって被害者と示談し、罪を軽くしてもらったほうがいいんじゃないか、という気もしてきます。
ちなみに、この「有罪率99.9%」というのは、あくまでも「起訴されて刑事裁判になった場合」であって、実際は【『犯罪白書』によれば、平成16年の検察庁終局処理人員のうち公判請求は6.8%。罪を認めて略式裁判にすれば留置されず罰金刑になり、証拠不十分や被害者と示談がすんでいる場合、嫌疑なしなどの場合は不起訴、罪はあるが裁判するほどでもないというときは起訴猶予になる】そうなので、検察側の立場でみれば「そもそも、有罪になるはずの事例しか起訴していない」とも言えるのかもしれません。そして、裁判官のほうにも、新聞に大きく載るような大事件でもないかぎり、「検察が起訴しているんだから、たぶん有罪なんだろうな」というような先入観はありそうですね。そりゃあ、目の前の怪しげな「痴漢をしたかもしれない男」よりは、長年面識のある検察官のほうが「信用できる」でしょうし、被告にとっては「人生の一大事」でも、裁判官にとっては、「面白くもなんともない、ありきたりの痴漢事件」だったりもするのでしょうし。 ただ、ここで引用させていただいた周防監督のインタビューの内容を読むと、「検察と裁判官はなんでも有罪にしようとする」というような印象を持たれるかもしれないので、一応言及しておきますが、「起訴」の時点で、ある程度のスクリーニングはなされているようです。
「裁判制度」については、僕自身にも消化しきれていないところがあって、例えば「光市母子殺害事件」や「オウム真理教の麻原裁判」の経過をみれば「検察がんばれ!」「そんな酷いヤツの引き延ばし戦術や情状酌量の訴えなんかまともに反応するなよ……」「そもそも、裁判に何年かけてるんだよ……」などと憤りを感じますし、周防監督が取り上げたような「痴漢冤罪事件」で嫌疑を晴らすために何年もの時間を費やしてしまった人の話を聞けば、「もっとじっくり裁判をやって、被告人の立場を守ってやれよ!」と思うのです。裁判官の立場からすれば、たくさんある「痴漢事件」のなかで、少数の「冤罪」を見つけ出す手間があれば、もっと大きな事件に力を注ぎたいというのも、わからなくはないのですが。
ただ、僕自身にとっては、凶悪犯罪で起訴されるよりは、痴漢冤罪で起訴される可能性のほうが高いと感じますから、電車通勤じゃなくてよかったなあ、と胸をなでおろしてしまうばかりです。
それにしても、「込んだ電車で目の前に女性がいるのに、前を向いて乗り込むんですか? そんなことをしたら怪しまれると思いませんでしたか」って聞く裁判官って本当に凄いというか、この人、満員電車に乗ったことがあるのでしょうか……ムーンウォークで乗れとでも?
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01月26日(金)
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