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活字中毒R。
by じっぽ
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■池田秀一さんと”シャア・アズナブル”の「めぐりあい秘話」
この『シャアへの鎮魂歌』という本では、シャア役の池田秀一さんの半生とシャアとの出会い、そして、シャアというキャラクターにまつわるさまざまなエピソードが語られています。
子役として「顔出し」(実際に画面に顔が出る役者のこと。声だけの「声優」と比較して使われる用語)の俳優であった池田さんは、もともと「声優」という仕事にあまり乗り気ではなく、アニメの声優に対しても、あまり積極的ではなかったそうです。それが、顔見知りの音響ディレクターの松浦さんに声をかけられ、「とりあえず参加するだけして、終わったら松浦さんと飲みに行く」つもりだったオーディションで、この「運命の出会い」があったのです。
しかも、池田さんが受けたオーディションは、シャアではなく、アムロ・レイ役のもので、その場で見つけた番組の資料で安彦良和さんのシャアの絵を観て、シャアのキャラクターに強く惹かれたため、自ら申し出てシャアの声のオーディションを追加してもらったというのですから、人間、意外なところに縁というのはあるものなのでしょうね。実際は、シャア役はこの時点ですでにほとんど決まりかけており、松浦さんは池田さんをシャア役にするのに、陰でかなり苦労されたそうなのですけど。
日本のアニメのキャラクターのなかで、「シャア・アズナブル」ほどの声の人気と知名度を誇るキャラクターは、ほとんどいないと思います。あえて言えば『ドラえもん』くらいのものでしょうが、ゴールデンタイムに移行してからでさえ25年以上の長さを誇る『ドラえもん』に比べれば、本放送では視聴率低迷のため予定の1年間すら続かなかった『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルの人気と知名度は、考えてみれば本当に凄いものですよね。でも、小学生の頃に『ガンダム』を観た僕たちにとっては、いちばんカッコいいのは、やっぱり「赤い彗星」だったんだよなあ。「ガンダムごっこ」でも、一番人気はいつもシャア。
「坊やだからさ……」とか「いい女になるのだな。アムロ君が呼んでいる」なんて、小学生がカッコつけて真似している姿は、今から考えれば噴飯ものではありますが、当時の僕たちは、本気でシャアに憧れていたのです。
ちなみに、池田さんは、シャアのイメージを大事にするために、あえてファンに愛想良く振る舞ったりしないように心がけていたそうです。「シャアというのは、気軽に自己紹介をしたり、にこやかにファンにサインをしたりするような人間ではないから、そのイメージを壊したくない」ということで。
結果的に、池田秀一さんは「シャア役の声優」として世間に知られることになり、僕などは池田さんの顔写真を見て、「この人が、あんなにカッコいい声を出せるのか……」と失礼なことを思ったりもしたのですが、もし、このときシャア役が他の声優さんになっていたら『ガンダム』がこんなに成功していたかどうかわかりませんし、池田さんの人生も大きく変わっていたことでしょう。『機動戦士ガンダム』が、ここまで歴史的な作品になるなんて、当時は誰も予想していなかったと思われるので、この出会いは『ガンダム』にとっても池田さんにとっても、まさに「運命的」なものだったのかもしれませんね。
01月04日(木)
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