ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■伝説の高額切手「月に雁」の現在の価値
 男だったら、この「切手収集」というのは、誰もが一度は通る道なのではないでしょうか。僕も小学生くらいのとき「切手収集」にハマっていたことがあったので、このみうらさんのエッセイ、とても懐かしく感じながら読みました。当時の「切手入門」などの子供向けの入門書には、必ずこの”月に雁””見返り美人”の2つの切手が「いちばん高い値がつく切手」として紹介されていたものです。僕もデパートの切手売場でケースに並べられたこれらの切手を眺めながら、「こんな高い切手、絶対に買えないよなあ……」と溜息をついていたものでした。使用済切手は価値が大きく下がってしまうのですが、それでも家に来る郵便物に珍しそうな切手が貼られていると、丁寧に剥がそうとしては失敗していたりもしたものです。あの頃は、「この切手、貼らずに送ってくれないかなあ」なんて真剣に思っていたのですよね。そもそも、貼らなきゃ届かなかったはずなのに。
 そして、ここでみうらさんが書かれているような「友達との切手交換」などもよくやっていました。今でいうと、ポケモン交換みたいなものでしょうか。でも、切手というのは「これは○○円の価値がある」というイメージが頭の中にあるものですから、「なんとか自分が損をしないように」というのと友達との人間関係を天秤にかけて「商売」をするのは、なかなか骨の折れることだったような記憶もあります。そして、当時の僕は「こうして集めた切手たちが、いつかすごい『お宝』になって、本当に家が建つのではないか」と期待していたのです。
 ここで紹介されている”月に雁”、1958年生まれのみうらさんが小学生のときの”第一次ブーム”で1万円、これが書かれた1997年の時点で2万円くらいだとしたら、今は幾らになっているのだろうか?と思っていろいろ調べてみたのですが、2006年の時点での”月に雁”の価値というのは、比較的状態の良いもので1〜2万円くらいが「相場」みたいなんですよね。「さくら日本切手カタログ」では、いちばん高い未使用美品で25000円程度。郵便という文化そのものが電子メールに取って代われつつあり、趣味として切手を集める人が少なくなったせいもあるのでしょうが、市場価格は「やや凋落傾向」にあるみたいです。「時間が経つほど値上がりするはず」という僕らの目論見は、あえなく外れてしまっています。
 ちなみに、20〜30年前の「切手ブーム」の時代の切手は、「当時集めていた人たちみんながシート買いをして保存しているので、額面以上の価値があるものはほとんど無い」そうです。結局、他人と同じことをしていては、なかなか「勝ち組」にはなれないってことなのかもしれません。
 緒川さんじゃないですが、いっそのこと「貼って出してしまったほうがいい」ような気分にすらなってくる話です。
 まあ、あと何十年かすれば、「昔は『切手』というのを貼って、手書きで郵便というのを送っていたんだよ」と、孫に見せて驚かせるのに役立つ可能性は、十分ありそうなんですけどねえ。

12月21日(木)
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