ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■ゲーム制作者残酷物語(『G.O.D.』の場合)
鴻上:いや、懲りました(笑)。当時のめちゃくちゃなスケジュール……一番、激しい時は、夜10時から朝10時までゲーム制作の仕事して、仮眠をとって、昼の1時から夜の9時まで稽古して、この繰り返しを5年やって、やっと1本ですからね。RPGを1本も作ったことのないソフトハウスに発注して、1本も作ったことのないゲーム作家が乗り込んできたんですから、5年かかって当たり前なんですよ……後からいろんな人にいろんなことを言われました。

八谷:それで、売れてる期間はほんの1週間だったりするんですよね(笑)。】

参考リンク:『G.O.D.』(イマジニア)

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 僕は実際にこの『G.O.D.』というゲームで遊んだことはないのですが、このゲーム、思い返してみれば、監修・鴻上尚史、キャラデザイン・江川達也、音楽・デーモン小暮閣下という豪華メンバーが手がけており、制作発表時にはけっこう話題になっていたのですよね。結局、「そういえば、本当に発売されていたんだなあ……」というのが、今の率直な感想なのですけど。

 それにしても、ここで鴻上さんが語られている「ゲーム制作哀史」を読むと、僕たち「ファミコン世代」が華やかな職業として憧れた「ゲームをつくる仕事」というのは、けっして甘いものではないのだなあ、と痛感させられます。僕も中学生の頃は、友達と「ゲームを作って一攫千金!」なんて話していたものなのですが。
 RPGを作り慣れているメーカーであれば、この『G.O.D.』のように「制作期間5年」にはならないのかもしれませんけど、少なくとも1本のゲーム、とくに膨大なデータを必要とするRPGなどを作る場合には、数年間は必要だというのは間違いないでしょう。そして、「ゲームをつくる人」の「賞味期限」は、そんなに長くはない。シナリオライターやグラフィックを描く人はさておき、ハードには代替わりもありますし、時代によって主流となるゲーム機も替わってきますから、プログラマーの「全盛期」は、一般企業の社員と比べれば、けっして長くはないはずです。こんなふうに「5年に1本」だったら、たしかに、15年かけて3本、3年に1本だとしても15年間に5本しか作れないわけで、「人気ゲームのスタッフロールに名を連ねられる」というのは、ごく一部のゲーム制作者のみに与えられた「栄誉」なのです。
 八谷さんは、この対談のなかで、こんなことも仰っておられます。

【ゲームの人に話を聞くと2年3年は当たり前じゃないですか。人生で一番働ける時間を費やして、しかもリリースされないことまであるなんて……。】

 どんなに優秀なプログラマーであっても、ゲームデザインやグラフィックが悪ければそのゲームは売れないだろうし(逆に、ゲームデザインは素晴らしくても処理速度が遅かったり操作性に問題があって売れない可能性もあります)、制作したハードそのものが全然売れなかったり、新機種に切り替わってしまったりすれば、せっかく作ったゲームが「お蔵入り」なんてことも十分に考えられる世界ではあるのです。ゲーム制作会社そのものでさえ、倒産や統廃合を繰り返してきています。ゲーム制作者というのは、ある意味、オリンピック選手と同じくらい、あるいはそれ以上に「日頃の努力が報われるチャンスが少ない職業」なのかもしれません。最近、「監修」などの「アドバイザー的なもの」を別にすれば、昔ほど「有名人が手がけたゲーム」を見なくなったのは、こういう「ワリに合わないビジネス」であるというのが認知されたからなのかな。
 それでもやっぱり、「自分の手でゲームをつくってみたい!」という人は、これからもたくさん出てくるのでしょう。「ひと山」は、なかなか難しくても、昔みたいに「そんなわけのわからないものを作っている会社、いつ潰れるかわからないだろ!」なんて親から猛反対されることもないだろうし。

11月28日(火)
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