ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■昭和天皇は、「ロックンローラー」だった!
僕の子供の頃の天皇制へのスタンスは、「あんなふうに生まれつき偉くて、年間何千万円もお金が貰える人がいるなんてズルイ!」だったのですが、それからが年を重ねるにつれ、「好きなときにファミコンもできない不自由な人たち」というような見方になったり、「紀子さんはかわいいなあ!」になったりしていました、今の時点では、「皇族というのは別に幸福でも不幸でもない、『ああいう存在』であるだけなのだ」という感じです。僕自身が、ある面では幸福で、ある面では不幸であるのと同じように、ああいう存在であることへの恍惚と不安みたいなものが、たぶん皇室の人々にもあるのだと思いますし、それは、他人があれこれと簡単に解釈できるようなものではないのでしょう。
現代に生きている僕にとっては、「のどかな風景」に見える「ご巡幸」の光景なのですが、この文章での坪内さんと福田さんの話を読んでみると、このような行事がはじまった当時は、むしろ、すごくピリピリとしたムードだったみたいです。太平洋戦争後も昭和天皇は「国民的大スター」であり続けたのと同時に、「反天皇制」の人々からは、まさに「目の敵」にされており、不特定多数の国民の前に直接姿を現すというのは、非常に危険な行為でもあったはずです。実際に嫌がらせのようなことをされたり、突然目の前に暴漢(と言い切ってしまうのは問題かも)が出てきたりもしています。それでもあえて国民の中に切り込んでいった昭和天皇というのは、確かに「ロックンローラー」だったのかもしれません。命が惜しければ、皇居の中に篭っていて、参賀のときだけベランダから顔を出すくらいでも、誰も咎めなかったはずなのに。
巡幸先で突然握手を求められたときに【「いや、日本人だから、挨拶をしよう」とお辞儀で切り返した】なんて話を読むと、昭和天皇というのは、肝が据わっていて、しかも機転が利く人だったのだなあ、とあらためて感心してしまいます。この場合、あっさり握手に応じていれば鼎の軽重を問われることになったでしょうし、逃げまわったらみっともない。そして、周りの人がとりおさえたりしたら、「人間天皇」らしくない。いきなりそういう状況に置かれたら、普通は、動転してしまうはずです。それが、「昭和天皇のもともとの素養」によるものだったのか、「帝王学の研鑽の賜物」だったのかはわかりませんけど。
今も皇室の人たちが多くの国民から愛されているのは、戦前の「現人神」の影響を引きずっているだけなのではなくて、むしろ、戦後の「ライブツアー」の力が大きいのかもしれませんね。それにしても、しっかり警備されているとはいえ、こんなに数多く「ご巡幸」されているにもかかわらず、大きな暗殺未遂事件なども起こっていないというのは、凄いことだよなあ。
10月31日(火)
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