ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025968hit]
■文庫の「解説」が無くならない理由
それにしても、「解説」のルーツというのはかなり古いものである一方で、現在のような「本編と乖離しているような解説」が流行しはじめたのは、けっこう最近なのだな、ということがわかります。そして、今となっては半分ネタ的にすら思われる「角川文庫」というのは、実は、文庫本の世界にさまざまな影響を及ぼしているのだ、ということも。それまでは「すでに功成り名を遂げた名作の殿堂」だった文庫という媒体が、流行の発信地になったのは、あの角川文庫の功績が大きかったのですね。僕はあの「ねらわれた学園」とか「セーラー服と機関銃」といった角川映画の全盛期を小学校時代に体験しているのですが、角川文庫の「メディアミックス」の歴史的意義なんて、当時は考えてみたこともありませんでした。まあ、そんなこと考えてる小学生は、あんまりいないでしょうけど。
でも、そういう「とにかく有名人が解説をする」という流れも、少しずつ変化がみられてきているのも事実のようです。先日、絲山秋子さんの『イッツ・オンリー・トーク』という作品の文庫を読んだのですが、その本の「解説」を書かれていたのは、ずっと絲山さんを応援してこられた一書店員の方でした。これはけっこう冒険だったと思うのですが、「本当に作品を愛している1ファンの言葉」には、なんだかとても新鮮な感動があったんですよね。最近、書店で手作りポップによる作品紹介がされているところも多くなってきていますが、僕はああいう「無名の人の思い入れ溢れる推薦文」を読むのがけっこう好きで、つい、紹介されている本を手に取ってしまうことも多いのです。薦めてくれている人の顔が見えるというのは、とても魅力的なことではないかな、と感じます。
たぶん、これからも文庫の「解説」という文化は続いていくのでしょうし、僕も「こんな解説付けるなよ…」と嘆いたり、「解説だけで読んだ価値があった!」と喜んだりするのでしょう。なんのかんの言っても、やっぱり、無いと寂しいのも事実だし、こうやって「解説語り」ができるのも、本好きの楽しみのひとつなのかもしれませんね。
08月19日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る