ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「ジダン頭突き事件」の真実
 しかも、そのときの恩人であるカンヌ元スカウトのジャン・バロー氏が、決勝トーナメント直前に他界した。重なったニュースが、ジダンをナーバスにさせていたかもしれない。】

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 「日刊スポーツ」の本紙の記事には、試合中にマテラッツィにユニフォームをつかまれたジダンが「そんなにユニフォームが欲しいなら、試合が終わったらくれてやるから」と言ったことがきっかけだったと書かれています。
 そのジダンの言葉に「見下されている」と感じたマテラッツィが、「暴言」を吐いたのだとか。また、スポーツニッポンでは、【マテラッツィは、ジダンの母親を侮辱したという報道に関しても反論。14歳の時に母親を亡くしているだけに「あいつのお母さんをバカにした覚えもない。母親は聖なるものだからね」と語った】そうです。
 もし、これらの言い分が事実であるならば、同じプロのサッカー選手であり、しかも、イタリア代表という「超一流」選手であるマテラッツィが、「いくらジダンだからといって、俺をバカにしやがって」とカッとなって「暴言」を吐いたとしても、それはそれで理解できるような気もします。いや、僕のようなワールドカップ期間限定のにわかサッカーファンにとっては、「ジダンのほうが圧倒的に格上」なのですが、当事者の考えというのは、また別の話。試合の最中に「ああ、憧れのジダンだ…」なんて思っているような、闘争心のない選手は、ああいう場には出てくることはできないはずです。
 いままさにワールドカップ優勝を争っている相手チームの選手に、こんなふうに茶化されたら、もともとかなり血の気が多いマテラッツィとしては、ついカッとなってしまっても不思議はないような気がします。
 ジダンだって、「これが最後の試合だから」という「引退モード」に完全になっていれば、どんな暴言を浴びせられても我慢できていたはずで、ジダンにとっては、ワールドカップの決勝戦も、自らの引退試合も、「闘わなくてはならない、目の前のサッカーのゲーム」でしかなかったのかもしれません。だからこそ、ジダンは大舞台で数々の「伝説」をつくることができたのです。

 僕はジダン選手のファンですし、彼があんな行為でレッドカードを喰らって現役最後の試合を終えてしまったのは、本当に悲しかったです。仮にジダンがあのまま最後までプレーをして試合が終われば、勝ったのがどちらのチームであっても、ジダンの「伝説」は、心地よい形での幕切れになったことでしょう。そもそも、今大会でのフランスの快進撃を支えてきた大きな柱はなんといっても復活したジダンで、グループリーグで韓国と引き分けた試合のフランスの体たらくでは、「予選で敗退してしまうのではないか」と感じた人も多かったはずです。しかしながら、「これがジダンのラストゲームになるのではないか」という周囲の予想に反して、スペイン、ブラジル、ポルトガルという強豪を、「終わった」はずのフランスが、次々と打ち破っていきました。考えてみれば、決勝まで進んできたことが、すでに「奇跡」みたいなものだったのです。

 あの「頭突き」事件は、確かに「ワールドカップの汚点」とも言うべきものですし、スポーツマンとしては、褒められたものではありません。
 ただ、さまざまな報道で得た情報からすると、ジダンは、決勝戦の直前の母親の緊急入院や恩師の死によるショック、そしてもちろん、ワールドカップの決勝という舞台や自分の引退試合ということへのプレッシャーを抱えながら、あのグラウンドに立っていたのだと思います。そして、なかなか試合を決められず、自らも決定的なチャンスにゴールを挙げられずに苛立っていたところに、あのマテラッツィの「暴言」。しかも、その内容が、緊急入院していて、ジダンにとっては大きな心配事である、母親の悪口だったとしたら……
 
 たぶん、マテラッツィは、「酷いこと」を言ったのでしょう。

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07月13日(木)
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