ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■芥川賞・直木賞と作家の「生涯賃金」
この本には、直木賞の選考委員である北方謙三さんのインタビューも載っているのですが、北方さんは、「ほかの作家の肩書に”直木賞作家”とある横で、僕だけ”作家”なのは、やっぱり嫌ですよ」と語っておられます。北方さんは、直木賞「未受賞組」なのですが(御本人によると「もらえなかったこともあるし、あげるというのを断ったこともある」そうです)、確かに、「芥川賞作家」「直木賞作家」というのは、「作家のなかでもステータスが高い職業名」として一般的に使われているような気がします。芥川賞・直木賞以外では、こんなふうに一般名詞化した文学賞というのはないんですよね。「三島由紀夫賞作家」とか、「このミステリーがすごい!大賞作家」と、テレビ番組で紹介されることは、まずありえないのです。
作家にとっては、この「芥川賞・直木賞」というのは、「別格」の存在のようで、石田さんも【編集者によると、直木賞を受賞すると生涯賃金が2、3億円上がるらしいですよ】と仰っておられます。一流企業に勤めるサラリーマンの生涯賃金分くらいが、「芥川賞・直木賞作家になれるかどうか」にかかっているのですから、それはもう、作家として生きていくいこうとする人の大部分が、「ノドから手が出るほど欲しがる」のも、当然のことです。
もっとも、ここでは「本が売れる」というだけではなくて、「講演」の話が出てきますから(というか、講演をやればかなり稼げるらしいです本当に)、「芥川賞・直木賞作家」になるというのは、「文化人」としてのステータスが上がって、それに伴う収入が増えるという面もありそうです。確かに「作家の○○さん」の講演だと知らない人は来てくれそうにありませんが、「直木賞作家の○○さん」であれば、名前を聞いたことがない人でも、なんとなく「大作家が来た!」と思うでしょうから、集客力もかなり違うのかもしれません。講演料とか依頼される頻度も、だいぶ違ってくるのでしょうね。
しかしながら、同世代のなかでは、たぶん本をかなり読んでいる部類の僕も、「ここ5年の芥川賞・直木賞作家」の半分も思い出せませんから(ちなみに、あの綿矢りささんが受賞されたのが第130回芥川賞で、今から2年半前の2004年1月のことでした)、「芥川賞・直木賞作家」になれたからといって、必ずしも永遠に「人気作家」でいられるわけでは、ないみたいなんですけどね。
その狭き門を考えると、生涯で2〜3億の上乗せというのは、むしろ、「安すぎる」ような気もします。
07月11日(火)
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