ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■ナポレオンの「片腕」だった男
 皇帝ナポレオンの名前を知らない人はいなくても、ナポレオンを支え続けた参謀長ベルティエの名前は、知っている人のほうが少ないくらいではないでしょうか。僕も、某シミュレーションゲームをやるまでは、こういう人がいたことを全く知りませんでした。
 しかしながら、この文章を読んでいると、もし、この有能な参謀長がいなければ、ナポレオンはあそこまでの成功を収めることができたのかどうか、僕には疑問に思えます。ナポレオンがどんなに素晴らしいアイディアを持っていたとしても、天才であるがゆえにあちらこちらに飛躍している話を、「普通の人間」である他の将軍たちや兵士たちに伝わるように「翻訳」する人がいなければ、たぶんそのアイディアは、「机上の空論」に終わっていたはずなのです。「3時間しか眠らずに仕事をしていた」と言われるナポレオンの傍にずっといて、しかも、ナポレオンが休んでいるときも仕事をしていたというのですから、それはまさに「激務」としか言い様がないものだったと思われます。
 しかしながら、【緻密で正確かつ迅速な仕事のできるベルティエは、ナポレオンにとって必要な存在だった。だがあまりにも地味で神経質、幅の狭いその人柄に、ナポレオンは、人間的魅力を感じなくなっていった】のです。そして、「緻密な仕事以外には、無価値な男」として、冷遇されるようになってしまいます。のちに皇帝に復位してワーテルローの戦いに臨むナポレオンの周囲の将軍たちは、ナポレオンの招きに応じなかった参謀長・ベルティエの不在を最も嘆いたそうです。彼がいないとナポレオンの軍隊は機能しない、と。
 歴史というのは、ひとりの英雄によって象徴されがちなものですが、実際は、この参謀長・ベルティエのような「英雄を支える人々」の力こそ、歴史を動かしていたのかもしれません。
 もちろん、ベルティエだってナポレオンに出会うことがなければ、こういう形で歴史に名前を残すこともなく、ただの「几帳面なだけのつまらない人間」として生涯を終えていたのかもしれませんし、こういう人を「片腕」として評価したナポレオンの見識こそが成功をもたらしたもの事実なのでしょう。そして、その見識も、自分が偉くなると失われてしまうというのもまた「人間的」だと言えなくもないのですが……

03月08日(水)
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