ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■ふたりのミキがいる。
 僕が安藤選手にはじめて注目したのは「トリビアの泉」の「フィギュアスケートの選手は、何回くらいぐるぐる回ると目が回ってしまうのか?」というお題に挑戦したときで、その可愛さと、物怖じしない飄々とした雰囲気に、すっかり魅せられてしました。このインタビューの中での「ジェットコースターで平然と手を放している姿」からすれば、ああやってくるくる回されることなんて、彼女にとっては朝飯前だったのかな。
 でも、テレビの画面を通して観る安藤選手は、あくまでも「演じている彼女」なのではないか、と僕はこの文章を読んで思ったのです。もちろん、年を重ねて、たくさんの大舞台を踏んだ彼女は、もう小学校3年生のときの、1人が嫌いで、主役を嫌っていた少女ではありません。でも、その一方で、彼女がそんな少女だったのは、自分が「自然に主役になってしまう存在」だということを、子供心に薄々気づいていて、だからこそ、1人になってしまうのが怖かったという面もあるのかもしれませんね。先日、「あまりに周りに騒がれてしまうので…」ということで、取材規制宣言が出されたことを考えると、あんなふうに「物怖じしない現代っ子」に見える安藤選手の心の中にも、いま、さまざまな葛藤があるのでしょう。トリノ五輪も、もうすぐですしね。
 それにしても、このインタビューの時点(2005年7月)では、まだ「想定外」だった話なのですが、年齢制限で出られないはずだった浅田真央選手の「特例によるトリノオリンピック出場の可能性」も取りざたされており、安藤選手は、「姉妹のようだった」浅田選手と代表の座を争わなければならなくなりました。浅田選手の出場は、試合結果と同時に「特例」としての許可が必要という「狭き門」ではあるのですが、それでも、お互いが「勝たなければならない相手」になってしまったことは間違いありません。スポーツの世界には、ときにこういう残酷な状況がつくられてしまいます。

 もうすぐ18歳の安藤選手にとっての「4年後」は、あまりに遠く、そして、選手としての能力もピークを過ぎてしまっている可能性も高いのですから、まさに、このトリノが「勝負」のはず。そして、今、彼女には、「日本代表」という大きなプレッシャーがのしかかっているのです。
 1人で勝負の世界に生きるアスリートと、17歳の孤独が嫌いな女の子。
 僕たちが知らない、ふたりのミキがいる。
 

12月07日(水)
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